12月県議会 文教委員会 12月9日〜10日
県立美術館

【堀江議員】
 県立美術館にかかわって質問します。
 部長説明の中で、ふだん県美術館の作品を身近に鑑賞する機会に恵まれない県内各地の方々に作品に親しんでいただくことを目的として、壱岐市で移動美術館を実施しましたという報告がありました。本土におりますと、足を運べばすぐに作品を鑑賞することができますが、離島はじめ、県内全域すべてというわけにはまいりません。

 そこで質問なんですが、この移動美術館とは別に、今年実施をされました企画の中で、五島市奈留町の子どもたちに、子どもたちは学校にいながら作品を鑑賞できるという企画があったかと記憶しておるんですが、具体的にどのような企画だったのか、その内容をこの場で改めて少し説明をしていただけませんか。

【深堀文化振興課長】
 堀江議員のご質問は遠隔授業についてのご質問だと思います。

 遠隔授業は、美術館から遠隔の地にあって、なかなか生の美術作品に触れる機会が少ない生徒たちに、現在のIT技術といいますか、そういった通信技術を使って美術に親しんでいただくという取り組みであります。

 今年は、今お話がありましたように、県立奈留高校で10月15日に、奈留高校と五島市立奈留中学校の全学年の生徒にお集まりいただいて、そういった授業をやっております。やり方としましては、会場となる学校に映像装置、それから、あとカメラ、それから、オペレーションが必要になるもんですから、専門のスタッフ、それから、美術館の学芸ないしは教育のスタッフを現地に派遣をいたします。それから、こちらの方の美術館の、例えば、展示会場の方に今申し上げたセットと同じようなカメラ、それから映像装置、それと、作品の解説をする、それに一番ふさわしい学芸員ないしは教育のスタッフがこちら側にいて、そして、双方向でやりとりをするというやり方でございます。

 今年は、テーマとしては「長崎の教会と洋館展」、それを開設するということで、長崎県立美術館の収蔵作品の中に教会とか洋館を使った絵画等がございますので、そういうものを美術館で学芸員等が解説をしながら、奈留の高校、中学の生徒に見ていただく。そういった解説が終わった後に、今度は生徒さんたちから質問を受けて、受け答えをする。そういうやり方をしております。

【堀江議員】
 そうしますと、遠隔授業を1回やるということでは相当な予算がかかるんですか。財政面はどうですか。

【深堀文化振興課長】
 まず、経費の負担は基本的には県の方で行いますので、現地側の負担というのは、例えば、テレビ会議システムに対応していないような場所であれば、その回線を引っ張ったりとかいう部分で経費を負担していただく。それから、毎月の回線使用料を負担していただく分はありますけれども、それ以外の専門のスタッフが向こうに行くとか、機材を向こうに持っていくとか、そういうのはすべて美術館の経費、最終的には県が負担しているわけですけれども、そういった経費負担のあり方でやっております。

 それから、平成20年度は、これは予算ベースなんですけれども、これにかかる経費として69万円を計上しております。

【堀江議員】
 現状IT技術の装備、設備ということでは遠隔授業は県内どこでもできるんですか。

【深堀文化振興課長】
 光回線があれば十分にできるんですけれども、光回線がなくてもADSLまでは対応した回線がないと、この遠隔授業は実施できません。

【堀江議員】
 現状でここの地域はできないというところがあるんですか。

【深堀文化振興課長】
 今は申しわけございませんけれども、資料を持っておりません。

【堀江議員】
 じゃ、一応県内にも現段階で遠隔授業ができない地域があるということだと認識をいたしました。私がこの質問を取り上げるのは言うまでもなく、こういう遠隔授業を進めてほしいという立場で取り上げていますので、ぜひ広げてほしいと思っております。

 それで、遠隔授業とは別の移動美術館の来年度の計画も最後に教えていただけませんか。

【深堀文化振興課長】
 移動美術館につきましては、毎年大体2カ所ぐらいで開催をしております。来年度については、今、各市町に照会をしているところでして、まだ確定をしているわけではないんですけれども、来年度については離島地区から手を挙げている市町がないようですので、本土部で開催することになるんではないかと思います。

【堀江議員】
 ありがとうございました。そうしますと、県立美術館の作品を県民が鑑賞したいという時に、もちろん足を運ぶことが大事なんですが、それはなかなかできないという距離的な問題がある場合は、一つは移動美術館、一つは遠隔授業、ほかにもあるんですかね。それだけと認識していいんですか。

【深堀文化振興課長】
 美術館の事業としましては、今の二つなんですけれども、美術関係では、これに加えて県展をやっております。県展につきましては、今年の実績で申し上げますと、長崎市、佐世保市、諫早市に加えて、対馬市厳原町、それから対馬市峰町、それから江迎町で開催をしております。県展は、県の最大の総合美術展になると思うんですけれども、こういったものも離島地区、半島地域に展開しながら、県民の多くの方々が生の美術作品に接する機会を提供できるように取り組んでいきたいと考えております。