12月県議会 文教委員会 12月9日
教員職給与表の改定について

【堀江議員】
 153号議案について質問します。
 提案理由が、職員の給与等に関する県の人事委員会の報告及び勧告に基づいていることを前提にして質問いたします。

 今回の給与表の改定は、教育基本法の改正に伴う給与の改定と認識していいのかどうか、まず、この点をお尋ねします。

【石橋教職員課長】
 学校教育法の改正に伴って新たな職の必要性というのがうたわれたわけでございますので、その職を設置する必要性ということの中で、今回、人事委員会の勧告がなされたと私は理解しております。

【堀江議員】
 つまり教育基本法の改正に伴う給与の改定ということですね。
 そこで質問します。

 学校教育法の改正では、副校長、その他の新しい職の設置については置くことができるとなっていると思います。置きなさいという規定ではないんですよ。置くことができるです。教育委員会としてはどういう見解をもって、置きなさいという規定ではなく、置くことができるという規定を採用するのか、見解を求めます。

【石橋教職員課長】
 法律上は、置くことができると。各都道府県において、その必要性がどうかという部分で、長崎県としましても平成21年4月から副校長、主幹教諭というものを置いて、より機動性の高い学校運営に当たる必要があるという判断があって、今回、県教育委員会としては、そういう新たな職を置くという判断をさせていただいているわけです。

【堀江議員】
  置くことができるという規定で置くんでしょう。置くということによってどういうことを進めるのか。機動性が高い学校運営というのはどういうことですか。副校長の役割もあわせて、何で置くという見解を持ったのかというのを、もうちょっとわかりやすく説明してください。

【石橋教職員課長】
 新たな職について、いろんな課題に適宜対応するためには、それなりのしかるべき取りまとめ的な主幹教諭でありますとか、校長の部分を一部担うべく副校長として委任を受けて、しっかりその辺を対応すべくそういった複線的な要素というものもやっぱり学校教育では必要であろうと、こういうこともとらえまして、今回新たな職というのを設置する必要があるという判断をさせていただいております。

【堀江議員】
 県民が聞いてわかるように、もう少し説明してくださいよ。
 つまり今の学校運営で副校長を置き、主幹教諭を置いたらどういう問題が解決されるのか、副校長や主幹教諭は何をするのか、だから置くことができるという規定を採用して置くのですと、そういうふうに答弁できないんですか。

【池田義務教育課人事管理監】
  私の方から小・中学校ということでお話を申し上げたいと思います。
 まず、主幹教諭の配置を想定しております学校といたしまして、小学校は21学級以上の学校、中学校においては18学級以上、いわゆる大規模校と言われる学校を想定しているわけでございます。

 副校長につきましては、そういった大規模校の中でも非常に大きな学校について教頭複数配置校、教頭を2人配置している学校がございます。そういった学校、あるいはそれに準ずる学校に、この副校長を配置したいというふうに考えております。もちろんその学校では、現在の組織の中でも一生懸命努力はしていただいているわけです。

 ただ、非常に大規模校になってきますと、教頭にいろんな業務が集中していく。例えば学校内のいろんな業務もそうでございますけれども、地域との関連でありますとか、あるいは特色ある学校づくり、いろんな関係団体との調整もあります。また、そういった学校の校長先生になりますと非常に外に出る機会でありますとか、業務が非常に多忙になっていくといったような課題も当然指摘されております。ですからそこに一定の指示ができる、あるいは一部でございますけれども、自ら決裁ができる副校長を置くことによって、校長が不在のものについても軽易な決裁ができるということで、今まで校長がいないとなかなか決裁ができなかったというものを、副校長を置くことによって一定いろんな決裁事務が迅速に進むといったようなことも考えております。

 それから、副校長につきましては、先ほど教頭にいろんな業務が集中するという話がありましたけれども、これは校長の命を受けての話でありますが、一定の業務について、例えば学校にいろんな部会組織がございますけれども、そういった部会組織の運営でありますとか、あるいは教頭が持っております管理等も含めた内容について、一定、主幹教諭にその役割を分任させることによって、本来、教頭としてなすべき業務がさらに円滑に進むのではないか、そういったことを考えまして、副校長並びに主幹教諭の配置というのを考えているところであります。

【堀江議員】
 小学校は、教育統計によりますと長崎県内には国立、公立、私立合わせて406校、中学校は同じく国立、公立、私立合わせて212校ありますね。このうち小学校は21学級以上、中学校は18学級以上の大規模校に設置をすると言われましたけれど、そうしますと、小学校、中学校の何校に設置する予定なんですか。

【池田義務教育課人事管理監】
 次年度につきましては、まず、モデル的に配置を行いまして、今、私がご説明申し上げましたけれども、その地域でありますとか、学校の状況によって具体的に業務の内容も、こういった業務ができるんじゃないかとかといったことがかなり出てくるんだろうと思います。

 そういったことを踏まえまして、副校長については小・中合わせて10校程度、主幹教諭につきましては35名程度の配置を考えております。

【堀江議員】
 高校は全日・定時・通信とあるわけですけれども、そうしますと90校のうち高校には副校長、それから主幹教諭がどれくらい配置されるんですか、まず、数を把握せてください。

【中川高校教育課人事管理監】
 今のところ8校前後を考えておりますけれども、これからの校長面接もございますので、現実的に現場の声も聞きながらのことになるかというふうに思っております。

 先ほどどういう学校かとありましたけれども、中高一貫とか、複数学科を持つ学校とか、そういう生徒数の多い大規模校が中心であります。それから、特別支援学校では知的と肢体不自由児のための併設の学校とか、あるいはしまに分教室を持っている学校、つまり校長1人では管理が非常に多岐にわたってなかなか難しいところを中心に、副校長の配置を考えているところであります。

 それから、主幹教諭につきましては、まだこれからということでありまして、まずは副校長を置くことから始まろうということであります。

【堀江議員】
 学校教育法の改正では、副校長、主幹教諭は置くことができるとしている。県教育委員会としては置くという立場に立った。それはなぜかというと、教頭に業務が集中するからなんだと、あるいは校長先生が不在の時にいろんな決裁をする立場の人がもう一人いると業務が進むんだという、いかに業務を円滑に進めるかというのが1つの理由と、答弁の中で認識をいたしました。

 ではそうであれば、すべての学校にそういう先生を置くのかというとそうではないと。まずは小学校で406校のうち10校、それで中学校においても212校のうち10校、これは置きますと。それはなぜかと。それはモデル校として指定をします。つまり主幹教諭は35名ということですけれども、副校長、主幹教諭の仕事というのは、これからつくるということになりますよね。つまり現状の中でここが問題で、やっぱり副校長がいないと、やっぱり主幹教諭がいないと回らないということではなくて、これからこういう業務をつくって、まずは小学校に10校、中学校に10校という規定で、副校長の業務というのはこういうものだ、主幹教諭の業務というのはこういうものだと実践をしていこうということですか。

 例えば教頭先生に業務が集中する。それは先生の数が足りないので教頭先生がいろんな仕事をしているからでしょう。それだったら副校長をつくるよりも学校の先生を増やして、教頭先生の業務を軽減したらいいじゃないか、そんなふうに私は考えるんですが、そういうふうにはならないわけですか。あくまでも副校長という方を置かないと、それはできないことですか。副校長を置かないと教頭先生の業務は軽減されないんですか。その疑問に答えてください。

 本当に今現場で大変だったら、すべての学校に一斉に置きなさいよ。

【池田義務教育課人事管理監】
 まず、1件訂正をさせていただきたいんですが、副校長につきましては、小・中合わせて10名程度を考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 
 まず、人の配置のお話がございましたけれども、副校長につきましては、いわゆる教頭定数の中から任用したいと思っておりますので、新たに副校長の人数が増えるというわけではございません。

 それから、主幹教諭も教諭定数の中から主幹教諭を任命いたしますので、教諭定数としては変わりません。ただし、これは国の方が概算要求で出しておるんですが、先ほど私が小学校21学級、中学校18学級と申しましたのは、それを一応積算いたしまして、主幹教諭2名につき1名の加配措置を行うという形で概算要求をいたしております。ですから主幹教諭の配置に伴いまして、これはまだ確定しているわけではないんですが、それに伴う加配措置が得られるものというふうに思っております。

 私どもといたしましても、ただ、職名を変えただけではやはり機能いたしませんし、かえってその先生方の負担を大きくすることにもつながりかねますので、ぜひともこの人的措置が必要なものというふうに考えているところであります。

【堀江議員】
 そうしますと、ますます副校長の数が減りましたよね。小・中合わせて10校なんでしょう。最初は小学校10校、中学校10校だったのが10校しか置かないわけですよね。そうするとますますモデル校も少なくなるわけですよ。

 私がここで質問しているのは、置かなければならないということではなく、置くことができる、置かんでもいいんですよ。それなのに置くというその根拠は何なのかと。現場の中から見て、副校長を置かないとどうしてもだめなんだというそこの説得力が私には聞こえてきませんね。むしろ副校長を置くよりも、加配の先生をたくさん置いた方がいいと私は思うんです。

 これは小・中合わせて今回10校ですけれども、すべてにするんでしょう。長崎市でいうと小・中合わせて600校以上あります。来年度は違いますけれども、いずれはずっと増やしていくんでしょう。学級数が多いか、少ないかという問題はあったにしても、そういう方向でやるというのが今回の改定でしょう。

 私に寄せられる意見として、副校長や主幹教諭を置くということは、管理者を増やして、それこそ教員を、いわば管理・統制すると、そういうふうな状況をつくるのではないかという声もあるんです。そのことについてはどんなふうにお考えですか。

【池田義務教育課人事管理監】
 基本的な考え方といたしましては、冒頭に申し上げましたけれども、学校の組織をさらに円滑に行う、あるいは機動的に行うといったものが主であります。

 それから、管理職員の数といたしましては、確かに副校長という新しい職名ができましたけれども、教頭定数の中から当然副校長を任命するわけですので、管理職員としての数は変わらないというふうに考えております。

 それから、モデル的にと先ほど申しましたのは、大規模校でそういった課題が出てきておりますので、とりあえずこういった形での任用を考えておるんですが、もちろん大規模校、その他の大規模校とありますけれども、本県の場合には、例えば大規模校以外にも、ここに副校長を置いた方が学校が機能できるかなといったような学校があります。例えば小中併設校というのがございます。このうちの一方に副校長を置いて、校長が不在の時に、ある程度の学校の運営を任せるとか、これはまだ想定の話でありますけれども、そういった中に広げていくことも可能だと思います。

 ただ、これはあくまでも、ある程度副校長というものの具体的な中身をもう少し詰めた後、検討してまいりたいと思っておりますし、主幹教諭につきましても、ある程度、人的な措置がないと機能できないという面もございますので、国の動向も踏まえた上で今後の配置計画等は考えてまいりたいと思っております。

【堀江議員】
 つまりは、副校長の仕事というのは、今の現場の状況から学校の中にどうしても必要だということではなくて、今後つくっていこうと。県民の皆さんには、今後、実践の中でしか副校長の仕事はこういう仕事なんだという説明はできないという理解をいたしました。

【堀江議員】
 153号議案について、引き続き質問します。
 教育職給料表の改定について、他県の状況を質問します。
 
 教育基本法の改正に伴う教育振興基本計画の策定は、47都道府県ではございませんでした。今回の教育基本法の改正に伴います副校長、その他の新しい職を設置するという問題では、九州では福岡、熊本、佐賀という県名が先ほど出されましたが、他県の状況はどうなんですか。設置している県はどういう状況なのか、把握しておられたら説明してください。

【石橋教職員課長】
 私どもが九州の動きについて把握をしておりますので、その状況についてご説明させていただきます。

 福岡県、佐賀県については、昨年度から設置しておりますので、この新しい職についての対応はもう既に済んでいると、こういう状況でございます。

 今回、新たな職について、長崎県を含め、あと熊本県について主幹教諭、大分県も副校長、主幹教諭、それから宮崎県も副校長、主幹教諭、鹿児島県は副校長、現在、沖縄県は対応ということはないということでございます。

【堀江議員】
 九州・沖縄8県の中でもすべてではないということを理解しました。

 次に、義務教育等教員特別手当の改正の内容について質問します。

 公立小学校の先生の数は5,692名、公立中学校の先生の数は3,540名という統計の資料がありますが、これは一部の対象になるのか、手当の内容はどういう内容なのか教えてください。

【石橋教職員課長】
 この義務教育等教員特別手当は、小・中学校のみならず教員である高校の先生においても、この手当の支給対象になっておるところでございます。

 なお、義務教育等教員特別手当なるものは、本来、昭和50年に設置されたものでございます。昭和40年後半当時において、なかなか教員の人材が集まらないということでございまして、いわゆる人材確保ということで、新たな措置を講じた一環として、この義務教育等教員特別手当を設置したと。これは全教職員に対して、それぞれの号級に応じた定額について支給しているというのが実態でございます。

【堀江議員】
 そうしますと公立小学校の5,692名、中学校の3,540名、そして高校の2,771名のすべての先生に特別手当という名目ではあるんだけれども、これは給与の一部として出されているという理解でいいですか。

【石橋教職員課長】
 そのとおりでございます。

【堀江議員】
 そうしますと副校長など新しい職につかれる先生は一部ですよね。部活動などで特殊業務手当が該当する先生も一部ですね。そうしますと一部の先生にとっては給与がプラスになっても、すべての先生の給与がマイナスになるとなれば、今回の給与の改定というのは、結果として教員の給与のマイナスになるのではないかと私は理解をするんですが、その点はどうですか。

【石橋教職員課長】
 今回、教員の給与の見直し等々については、この義務教育等教員特別手当なるものは、本来、制度創設の時代から効果というか、意義というのは薄れてきている。そういった面で、一部こういうものは縮減を図りつつメリハリのある給与体系を構築すべきだということで、国の答申であるとか、中教審の報告等々があっているわけです。

 こういうのを踏まえまして、頑張る先生にはそれなりの処遇をしていくんだと、こういうスタンスの中で、今後、文部科学省も検討を引き続きやりますけれども、そういう流れの中で今回の給与を構築させていただくよう、給与改正を行わせていただいたということでございます。

【堀江議員】
 業務手当、特殊手当として、必要ないという見解だったら、全額廃止ということもあるでしょう。でも、それはしないんでしょう。だからそこには、この業務手当というのは、生活の一部として先生方の生活を支えているからじゃないですか。少なくとも来年度は新しい職につかれる先生の分で1,500万円の増、すべての先生は3.8%から3.0%にするということで4億5,000万円の減、特殊業務手当については2億4,000万円の増で、差引2億2,500万円の減になりますよね。

 そういう意味では、一部の先生の給与は増えても、結果としては全部の先生の給与が下がるわけですから、私はメリハリのあるという言葉を使いましたけれども、今回の給与体系はそういう意味では先生方の生活を担っている給与を下げるという理解をいたしました。討論がありますけれども、これは後ほど発言をしたいと思います。