2008年3月7日 文教委員会
教育振興基本計画−指導力不足について

【堀江県議】
  松田委員、黒田委員の質疑に関連することなので、1点どうしても確認をさせてください。松田委員、黒田委員の方からは、この改正を受けた理念が反映されているのか、あいまいではないか、やわらかではないかとご指摘だったと思います。そのことに対し教育長は、教育基本法の改正に沿って、起案しておりますと答弁いたしました。
 つまり、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、教育職員免許法及び教育公務員特例法、いわゆる教育三法の改正に基づいて今回の第59号議案は策定をし、議案として提出をしていると、こういう理解でいいのかどうか。

【横田教育長】
 私どももそういう法改正に基づいて、取り組むべきものは入れていこうという基本的な考え方は持っております。

【堀江県議】お昼の時間でもございますので、ここで一たん中断をさせていただきたいと思います。

【押渕委員長】
 それでは、午前中の会議はこれにてとどめ、しばらく休憩いたします。

【押渕委員長】
 
委員会を再開します。それでは、午前中に引き続き、第59号議案について質疑・討論を行います。

【堀江県議】
 「指導力不足」という言葉があるんですが、先生たちを指導力不足と判断をする、これはだれが判断をするのか、このことを教えてください。

【岩村義務教育課人事管理監】
 指導力不足教員についてだれが判断をするのかということでございますが、まず、指導力不足教員というくくりでございますが、疾患以外の理由によって、児童または生徒を適切に指導できないという教員を指導力不足教員と呼びます。

 この者につきましては、まずは学校長がその指導力につきまして、ないということを市町立の教育委員会を通じて県教委の方に申し出をいたします。その中で指導力向上委員会というものに、これは県教育委員会の中に設けてありますが、その中で認定をいたしまして、この教員については研修が必要だということを認めたときに、特別研修というものを受けていくということになってまいります。

【堀江県議】
 指導力不足という判断をする際に、学校長が県教委に情報を集めて、その上で県教委の中の内部組織で判断をするという「手順だと」理解しました。

 先月28日に京都地裁で、1年間の試用期間中に指導力不足と、処分を受けた京都市立小学校の元教諭が、同市を相手取って処分取り消しを求めていた訴訟で、京都地裁は処分を取り消す判決を出した。

 つまり、校長先生が、学級崩壊を招いて勤務実績が不良なので、教員としては適格性を欠いている指導力不足ということで、解雇したんですが、その解雇したことに対し元教諭が裁判を起こしまして、結果として指導力不足ということはあり得ないんだという判決が出たんです。これは司法の判断ですが、指導力不足ということをいわば判断をする際には、現時点でさえ、司法の場では指導力不足というのは認められないというふうな判断もあっている。そういう判決も踏まえながらも、教員の指導力不足、これを適用されていくわけです。

【岩村義務教育課人事管理監
 その京都地裁の件につきましては、私どもは調べましたけれども、これは1年間の条件付きの教員でございまして、私が申し上げました指導力不足教員とは、若干そういう認識が違っております。

【堀江県議】
 1年間の雇用であっても、担任の先生をされたりということでは、子どもたちにとっては同じ先生ではないですか。

【岩村義務教育課人事管理監
 地方公務員法の1年間の条件付き採用教員ということで申し上げましたので、そこはお間違えのないようにご理解していただければというふうに思っております。

【堀江県議】
 私は、指導力不足ということでこの基本計画にはきちんと明記をされているので、指導力不足とはどういうことかということを改めてお伺いしたく、そういう判断が本当にできるのかということで問題提起をしたんです。

 教員の力量向上に役立つ、いわゆる教員評価という点では、行政が管理職を通して行うのではなくて、子どもや保護者や同僚や専門家などの関与のもとで先生が納得をして、先生の努力を励ます、そういう教育活動への丁寧な評価が、私は行われるべきだと思っておるんです。

 先ほど指導力不足ということをどう判断するのかというときに、校長先生の情報も寄せられた上で県教委が判断をすると言われたじゃないですか。だから、県教委、行政の判断でいいのかというふうに私は疑問を投げかけているので、その点についての見解を示してください。

【岩村義務教育課人事管理監】
 今のご質問につきましてでございますが、指導力不足教員の特別研修にかかる規定というものがございまして、指導力不足教員というのは、あくまでも指導力の欠けている部分を研修によって取り戻して復帰することを目的にしております。これはそういう目的でまずは認定をし、その先生の指導力を高めて現場に戻すということを目的にしております。

 指導力不足向上委員会には、教育関係者ばかりではなくて、精神的な面のことが考えられますので、医師が入って、その認定の中で客観的な担保をしながら、この先生につきましてということで認定をしながら進めていくということもご理解していただければというふうに思っております。

【堀江県議】
  指導力不足向上委員会ですか、そこには管理職だけじゃなくてドクターも入っているんですよという答弁だったけれども、私が言うのは、子どもや保護者、同僚、そういった人たちが入ってその先生が納得するようなやり方、そして、その先生がまた頑張ろうと思うような評価、それを行うべきではないかと要望しておきたいというふうに思います。
 
【江頭義務教育課長】
 指導力不足教員についてのご質問だったわけですが、京都府の問題につきましては、いわゆる採用された初任者ですが、1年間は条件付き採用ということで、正式な採用は2年目からということになります。この1年目のときの状況について指導力不足と認定をして、そのことについての訴えがあったものの判断が先般出たものだろうというふうに思っております。

 それから、指導力不足の判定につきましては、基本的には子どもたちの指導の状況等について、私どもとしてはガイドラインというもの、指導の状況をつぶさに見ていくための判定の基準というのを設定しております。例えば児童と生徒との信頼関係が築けないとか、児童生徒の掌握ができないとか、授業改善の意欲が乏しいとか、授業が成立しないとか、こういったものをずっと継続的に観察をしていただいた上で、これは指導力が極めて劣っているという状況を市教委を通じてうちに上げていただく。ただ、指導力向上委員会というのは、先ほど義務教育人事管理監の方からも話がありましたが、医者、校長会の代表、それから私ども研修機関としての教育センター、そして県教委の方からなるメンバーで構成をされておるんですが、このため教育公務員特例法の改正がありまして、指導力不足についての認定に当たっては、そのメンバーの中に保護者等も入れるようにという定めになりましたので、次年度以降は保護者の代表についてもそのメンバーとして入っていただくように、今調整をしておるところでございます。

 加えて、先ほど私が申し上げました認定の基準につきましては、各県ごとばらばらの状態ですので、今国の方で認定のための共通的なガイドラインを作成しておりますので、それができ次第、それに従って認定に当たるようになるものというふうに考えております。
 以上でございます。

【堀江県議】
  私は要望にとどめようと思ったんですけど、義務教育課長が答弁されるから、また私も質問したくなるんですよね。

 京都の裁判が新規採用の教員に対する判断であったにしても、要は、指導力不足という判断を管理職がしていると。これは同じなんですよ。長崎県だって、指導力不足という判断をどこがするかと、管理職がするんでしょう。だから、そのことが問われた裁判だったわけです。私は、管理職が判断をするというのではなくて、同僚や子どもや保護者や専門家や、そして、その判断を受ける先生自身が納得ができる、そういう評価をしないと、大変なことになるのではないかと疑問を投げかけたんですね。

 それで、今の義務教育課長の答弁で、次年度から保護者も検討したいということで、次年度ということは、平成20年度でいいんですかね、確認をさせてください。

【江頭義務教育課長】
 平成20年度からそのようにします。

【堀江県議】
  そうしたら、平成20年度から保護者も入って、指導力不足については評価が行われるということで理解をしたいと思います。