2008年3月7日 文教委員会
育振興基本計画−学力テストについて−


【堀江県議】
 私がこの文教委員会で取り上げております学力テストの問題ですね、前回学力テストが行われた際に、学力テストというのは、あるがままの学力をそのまま調査するはずのものなんですが、全国一斉に行われるということで、結局、テストの準備はしてはいけないんだけれども、テストの準備が行われると。そのためにいろいろな不正も行われるというのが、学力テストが終わった後、いろんな新聞にも報道されました。

 例えば、広島県のある市では、算数のテスト中の6年生に、先生が問題文を指さして、「もう一度読んでみろ」と、書き直す指示を出したとか、同じ広島のある教育委員会は、事前に問題集を配布いたしまして、既に問題に解答を得るようなことをやったとか、これは一例ですけど、つまり学力テストということで、テストの成績を上げるための不正がずっと行われたんですね。だから、今後学力テストを続けるということであれば、こうした不正が起きると私は思うんですけれども、その点はどうですか、不正は起きないと断言できますかね。

【江頭義務教育課長】
 先日のご質問の中でもお答えをさせていただきましたが、全国学力・学習状況調査の実施目的というのは、教育課程の実施状況の中で子どもたちが目指す学力を身につけているかどうかということを判断し、届かぬ部分について指導の改善を図るということでございます。

 先ほどご懸念の部分については、昨年度の県内の実施については報告は上がっておりませんし、この後も、どういう趣旨で実施するものなのか、そういった行為によって得られた点数としての学力が、本当の意味での子どもたちの学力と言えるのか、そういった部分についても説明をしながら、適切に実行できるように指導してまいりたいというふうに思っております。

【堀江県議】
  すべての小中学校が学力テストを受けるということが前提で基本計画はつくられています。だから、その結果を受けて、今後のさまざまな改善、活用を進めるということが明記されているわけですが、義務教育課長、そういう答弁であれば、私はテストそのものをしなければいいと思うんですよ。

 実際に、例えばフィンランドでは、7歳から16歳まで総合学校で義務教育を受けて、その後普通科高校か職業学校を選択し、1クラスの人数は十数人ほどで、授業時間は日本よりも少なくて、熟度別授業は効果がないとして廃止をしておりますし、テストはないと。そういうふうに行っているフィンランドの子どもたちの学力がいかに高いかというのは、私が申し上げるまでもないと思うんですね。

 私が取り上げました愛知県の犬山市でも、学力テストは競争教育をもたらすということで、これは行っていない。そういう意味では、学力テストをやったって、それは別に競争原理を取り入れたものでもないし、それでどうこうすることではないということであれば、テストそのものをやめるという方向も私は検討してもいいと思うんですよ。だけど、テストはやめないんでしょう。その点はどうですか。

【江頭義務教育課長】
 この件については、昨日お話をしたとおりでございますので、市町の方が実施主体でありますので、その判断については市町教育委員会が行うということです。

 それから、特にPISA2006ではフィンランドが高い学力をたたき出しているということは承知をしております。いわゆる読解力とか、数学・理科のリテラシーの部分でフィンラドンの方式というものが世界的に非常に評価されておると。そういったフィンランドの教育のありようとか、理念というものも、今回の活用型の学力と、指導要領にも反映されているものというふうに理解をしております。

【堀江県議】
 質問を最後にしますけれども、午前中の最後に教育長は、「今回の第59号議案は、いわゆる法改正に基づいて提案をしました」というふうに答弁をされました。その上で、この基本計画をすべての県がつくっているかというと、現時点はそうではないですね。

 今後の予定としても、今のところ策定をするという考えを示しておられない県もあるんですが、その中でも、あえて本県が実施するということはどういうことでしょうか。これは、つくらないということは検討されなかったのか。

【横田教育長
 他県の今後の取り組みについては、全部確認をいたしておりませんけど、私の判断としては、やはり教育は、法改正の趣旨にありますように、学校だけで取り組む時代ではもうなくなったと。もちろん今までも家庭、地域、それぞれの教育力、総合的な力によってやるものだと思いますけれども、特に今求められているのは、学校・地域・家庭、いわゆる社会総ぐるみで当たる必要があると、私はやはりそういう取り組みが一番求められると、これは非常に必要なことだと思います。

 そういう取り組みをするためには、長崎県の教育、特に義務教育をはじめとする教育のあり方については、私どもがどういう教育に取り組みますよということを県民の前に明らかにすることが、基本的に一番大事だと。それを各分野にわたって、全部にわたってというのはなかなか大変でございますけれども、主な取り組みの基本立てぐらいはきちんとお示しをして、それでそれぞれの役割を担っていただくことが一番大事なことだと。それのきっかけとして、今求められる、教育基本法が求めている精神をいかに具現化するかという形で、タイミングとして私は、この改正の機会を一つの機会だと判断をいたしました。

 ただ、当初、今年度に全部でき上がる予定で私どもは進めておりますけれども、細部にわたっては、ご指摘の点は多々ございますけれども、私はこの計画案を十分ご審議いただいて、適切なるご判断をいただきたいものだというふうに思っております。

【堀江県議】
 教育基本法の第17条の2、「地方公共団体は、基本的な計画を定めるよう努めなければならない」、つまり努力義務であるにもかかわらず、長崎県としてはつくるということで理解していいんですね。結局、絶対つくりなさいということではなく、つくらなければならないという努力事項であっても、長崎県としてはつくるということの理解でいいですか。

【横田教育長】
 教育は一人国が行うものではなくて、国、地方、いわゆる県・市町村相まって次世代の子どもをきちんと育てるという責務があると私は思っております。そういう意味では、まず、国が求めておるのは、国の姿勢を参酌して地方でも努力をしてくださいと、こういうことだと思いますので、私は、まずは県からそういう姿勢を示して取り組むことが非常に大事であるというふうに思っておる次第でございます。