「新幹線は中止に」の請願が不採択

 「新幹線は中止を」という請願を、新幹線を考える県民の会が出し、その審議が12月14日の総務委員会で行われました。
 しかし、共産党以外の全会派が反対し、請願は不採択となりました。

 
 深町孝郎氏の意見陳述
堀江県議の請願紹介討論
 長崎新幹線を考える県民の会準備会の深町孝郎です。

 長崎県は30年あまりも新幹線建設を叫んできましたが、どのマスコミのアンケートでも「新幹線は必要ない」の声が、「必要」を上回っています。長崎県民の多数は冷静に賢明に判断し、新幹線建設に同意しておりません。
 私は、こうした県民の声を県政、国政に反映させるために、新幹線建設の中止を求める請願をおこなうものです。

 まず、長崎に来るのは本当に新幹線かという問題です。新幹線の話で、長崎には、のぞみやひかり、こだまも来ないし、来れないんですよと話せば、「本当ですか」とピックリする人が多いのです。これは長崎新幹線の真の姿が理解されていないことを示しています。

 現在、建設が認可されているのは武雄と諌早間だけです。諌早と長崎の間と、武雄から先は、現在のJR線を走ることになるのです。

 新幹線とは、本来速く安全に走行するために、線路幅を広げて広軌にする、踏切は作らない、カープは半径3〜4キロ以上にするなどの新幹線規格があります。在来線の上を走って新幹線というのはおかしな話です。新幹線西九州ルートは、正式には在来線なのです。
 カモメをいくらか改良したスーパー特急にすぎず、新幹線もどきなのです。
だからスピードも出ないし、出せない。時間短縮もわずかなのは当然のことです。これを新幹線と長崎県が宣伝するから、県民の中に誤解が生まれているのです。

 また導入予定のフリーゲージトレインは、まだ実験中であり、実用化の見通しは立っていません。
 次に建設費の問題です。建設費は武雄・諌早間だけで2700億円かかり、そのうち長崎県の負担は312億円と言われています。新幹線としての認可は武雄・諌早閤だけですから、それ以外の区間の建設費用はこのなかにはいっていません。
 西九州ルートを計画通りに走らせるためには、武雄・諌早区間以外のエ事も必要になります。武雄・肥前山口の複線化、長崎駅の新幹線ホームや駅舎の建設、長崎駅周辺のJR線の立体交差化などが必要になります。

 長崎駅周辺JRの立体交差化やホームの新設などの建設だけでも400億円
程度かかると試算されているそうです。これらは新幹線建設予算とは別予算です。この別枠の予算は新幹線建設にくらべ地元負担が大き<、400億円の50%近くにもなります。
 ですから実際の建設費は三千数百億円になります。三干数百億円をかけて福岡・長崎聞の時間短縮はわずか20数分です。1分短縮に百数十億円です。地元負担が小さいと宣伝されていますが、地元負担以外の費用もすべて国民の税金であることには変わりありません。

 長崎県の財政は数年後に赤字再建団休に陥る危険性があると、県自らが指摘するほど深刻です。こういうなかで不要不急の新幹線建設に膨大な税金をつぎ込むことは許せません。

 次に、長崎本線の肥前鹿島・諌早間を第3セクターに切り換える問題です。この第3セクターの赤字を少なく見せるために、線路や駅舎の管理は長崎県・佐賀県がおこない、そのために毎年2億円以上をつぎこむことなっています。
 これは第3セクターが続く限り、県民の税金をつぎ込み続けることを意味します。そうやっても全国の例から見て、採算がとれず廃線になることは避けられません。その結果、関係地域住民の足を奪い、地域の疲弊をもたらすことはあきらかです。

 最後に、新幹線で長崎県が発展するのかと言う問題です。「新幹線が来なければ長崎は取り残される」と知事などは言いますが、国土交通省の吉式算でも、新幹線建設によってJRの利用者は増えるとは言っていません。
 利用者が増える見通しがないのに、どうして長崎県の発展につながるというのでしょうか。

 以上の点から、新幹線西九州ルートの建設を中止していただくよう請願いたします。

 仮にそういうお金があるのなら、県民の生活、福祉、教育などの充実をこそはかっていただくことを求めます。

 最後に、県議会の請願のあり方について一言申し上げます。請願は憲法で保障された国民の権利です。ところが県議会では、請願者の発言は休憩時間にしかできず、議事録にも残りません。長崎市議会では、陳情でも請願でも、請願する委員会で発言できます。
 
 請願者が委員会で正式に発言できるようにしていただきたいことを申し添えて発言を終わります。

 ただいま議題となりました、請願第7号、新幹線西九州ルート建設の中止を求める請願書、紹介議員の堀江ひとみです。

 本、県議会では、一般質問でも、新幹線建設推進の立場から、着工条件の見直しを要望する質問が、いくつかありました。知事は、着工に反対している佐賀県内の自治体について、「問題が早期に解決するよう期待したい。」と、答弁しました。

 本請願は、佐賀県民の請願ではなく、長崎県民の請願です。長崎県民がすべて新幹線建設推進ではありません。このことを、ご認識いただきたいと思います。

 請願理由で、のべられているように、新幹線西九州ルートは、武雄・諫早間以外は、在来線のままであり、山陽新幹線や九州新幹線などの、新幹線規格に当てはまらず、新幹線と言えるものではありません。だから「のぞみ」「ひかり」「こだま」などは来ないし、これません。スーパー特急でしかありません。導入予定のフリーゲージトレインは実験中であり、実用化の見通しは立っておりません。

 新幹線建設で長崎県が発展すると言われていますが、国土交通省の計画案では、新幹線建設によってJRの利用者が増えるとはなっていません。JR利用者が増える見通しがないのに、どうして長崎県の発展につながることになるでしょうか。

 武雄・諫早間の建設費だけでも2700億円かかります。うち長崎県負担は312億円です。その他にも長崎駅の改修をはじめとする多くの建設費用がかかります。この費用は、建設予算に含まれないため、地元負担の割合は高くなり、地元負担は50%近くになります。地元負担以外の建設費もすべて国民の税金です。これだけの費用をかけて、福岡・長崎間の時間短縮は、わずか20数分です。

 本、県議会でも長崎県の厳しい財政状況が明らかになっています。各部署での補助金10%カットは、県民サービスへも大きく影響しています。昨日の厚生環境委員会の審議の中で、県財政が厳しいからと、学童保育の母子家庭への補助金・月5000円を4000円に、10%もカットするのはいかがなものか。乳幼児医療費助成事業で県費負担を2分の1から3分の1にカットすることは、納得できないとする論議がありました。
 不要不急な新幹線建設に県民・国民の税金を投入すべきではありません。そうした税金は、県民のくらしや福祉、教育のために使うべきです。
 新幹線西九州ルート建設の中止を決議していただくよう、よろしくお願いいたします。

 なお、本日は請願団体より、深町さんが出席しておりますので、ぜひ直接、請願の趣旨をお聞き下さいますよう、重ねてお願いして、私の請願紹介といたします。