文教委員会委員外発言
松浦東高校の存続を求める要望と陳情についての質疑
 2007年12月11日



●堀江県議
  9月の文教委員会でもこれは論議をされた内容です。
 その中で県教育委員会は地元から高校がなくなる、あるいは自分の母校がなくなるということが、どれほど重大な問題かこちらも充分理解はしていると答え、地元から出されたご意見・要望は承って真摯にそれにどう対応するか検討するとお答えされております。

 そこで、質問ですが、陳情の中で松浦市議会がこの特色ある学校づくりをしたいと、魅力ある学校づくりをしたいと要望しておるんですが、この問題についてはこれまで検討されておりますか。

高校改革推進室長
 松浦市からご提案のあったデュアルシステム(実務・教育連結型人材育成システム)についてですが、これは松浦東高校に水産関係の日本版デュアルシステム学科を導入できないかというご提案でした。
 実はこれは平成15年度に松浦市の方で準備をされまして、平成16年4月に県の教育委員会にお持ちになってご説明があって以降、例年行われる松浦市の要望ですとか、あるいは松浦市を含む西九州北部地域開発促進協議会の要望の中でも、毎年のようにいただいてましたので、その都度回答は申し上げているわけです。

 この導入については、二つ問題点があると考えております。一つは水産関係の学科ということですが、ご承知の通り水産関係は旧長崎水産高校、現在長崎鶴洋高校となっておりますが、そこに唯一ある学科でこれはかって5学級を現在定員割れやあるいはもう水産業を取り巻く環境の変化、あるいは出先・就職先などの関係から現在3学級に縮小している状況です。
 これを新たに松浦東高校に導入するとこの水産関係をめざす子どもにとっては遠距離でも寄宿舎を準備しておりますし、仮に松浦東高校に作ったにしても、なかなか募集定員は満たすことが難しいだろうということもあって、難しいだろうとお答えしております。

 また、デュアルシステム、デュアルというのは、高校と企業が並行して教育を行うというそういう意味でのデュアルなんですが、これは、全国で東京の高校1校だけでして、あそこは周辺に京浜工業地帯を控えて受け入れ企業が多数あるわけですが、そこで受け入れて成立しているような状況でして、現実に松浦地区で企業が受け入れて、高校と並行しながら教育ができるのか、あるいはこの教育内容が教育課程上の学習指導要領上の位置づけとしてきちんと位置づけられるのか、そういうような問題もあってこちらの方もなかなか現実的には難しいんだろうということで考えているところです。

 ただ、そういうご要望については一つのアイディアとして受け止めまして、現在考えているのは、松浦地区に現在2校ある二つの高校を統合したいと考えているわけですが、その統合後の松浦高校について、たとえばデュアルシステムまでいかなくても、地元企業での実習を軸にしたインターシップを軸にした、そういう特色ある教育ができないかということで今、検討を始めているところであります。

●堀江県議
 このデュアルシステムの導入によって、特色ある魅力ある学校づくりをしたいと、そのことで再生できると確信をしているという風に松浦市議会の陳情には述べられています。
 そうしますとこういう見解というのは県の教育委員会としてはこれは成り立たないという見解をお持ちなのですか?

高校改革推進室長
 これは前回も申し上げたことなんですが、二つの学校それぞれが大きな定員割れを続けておりまして、松浦東高校ともう一つある松浦高校でも現在4学級160人の募集定員なんですが、毎年40人を超える募集定員、定員割れを続けているということで、これが仮に二校を維持していこいうとするとそれぞれが2学級あるいは3学級程度の小規模校になって、現在松浦市区からこの二つの高校以外に住んでいる子ども達が6割いるんですが、これがもっと加速するだろう、そうなるとますます地元離れが進んで、二つの学校もたちゆかなくなるのではないか。
 不十分な教育環境になってしまうんではないかということを危惧するものですから、松浦東高校に特色ある学科を導入してのもっていき方ではなくて、二つの高校を統合して一定規模を確保した上で特色づくりを進めた方がいいだろう、そういう判断です。

●堀江県議
 生徒数が定員割れをする、生徒が減少する、ということが発端でこの統合計画があるわけですが、そうしたことを全部最初に考えていきますとね、魅力ある学校づくりもそういう回答になっていくんですよ。
 県教育委員会が地元から出されたご意見・ご要望を承って、真摯にそれにどう対応するか検討したいとずっとそういう対応されてこられてますよね。
 今回も松浦東高校の存続を求めて、すでにこの議会の始まる前に教育長をはじめ、署名を添えて要望されておられます。
 そういう意味ではですね、市も市議会も住民のみなさんも、存続をしてほしいと要望しているというのは、総合的な判断の一つには入らないのですか。

高校改革推進室長
 要望についてはですね、ずっと申し上げているように真摯に受け止めて、こちらなりに色々判断をしてきた訳ですが、存続した方がいいのか、あるいは統合して新たな特色づくりを進めた方がいいのかという判断で私どもは後者を選んだという事です。

 先程ですね、新たな特色づくりというか、これまでも松浦東高校においては、スタートから半世紀以上たつわけですが、昭和24年に分校としてスタートした後、昭和41年に松浦園芸高校として独立したわけですが、それを平成4年にですね農業系の学校に新たに商業科というこれは県下で初めての事なのですが、異種の専門学科を同居させた総合制の高校として地元のニーズを受け入れて、工夫も重ねてきたわけですし、商業科設立にあわせて財政もつぎ込んで商業科棟を建てたりですね、そういう色んな工夫をしてきたけれども現実的にはなかなか定員割れが止まらなかったというそういう状況もあります。
 ですから、このまま地域全体の子どもたちが減っていく、それから地元離れも進んでいるという状況から考えると、ここにそのまま小規模のまま存続するというのはいかがなものか、ということで考えております。

●堀江県議
 私は松浦東高校含めですね、松浦市の職員の方ともお話をさせてもらいましたが、やはり非常に危機感を持っておられます。
 それは定員割れをすると、教育環境を整えるにはそれなりの規模が必要だということだけでは、地元のみなさん納得できないという風に思っております。
 先程中山委員の質問に答えてですね、地元に説明をしているという風に言われました。しかし、その地元の説明というのはあくまでも県教育委員会の考えを述べるだけではないですか。
 みなさんの意見を聞くという立場に立っていないと私は思います。せめてですね、こういう風に陳情があって、署名も添えて存続を求めているわけですから、早急に結論を出すことなく十分な論議をしてほしい。
 少なくとも今の時点では、地元のみなさんの合意は取れていないという風に私は思います。そういう意味では自らの説明だけをするのではなく、住民の方の意見を聞くというそういう立場に立っての真摯に対応したいという態度にたってほしいと思います。教育長この点について見解を求めます。

教育長
 今までの課題は、室長から説明したとおり私も認識を致しておりますが、ともかく松浦高校に通うべき地域からも他に流れていると、これをどうくい止めるか、その為には適正規模に再編成をしてその中で言うなれば多様な学生・生徒ニーズに応える、これをやらないと両校ともやはり本当に生徒が減少するこれだけは私は避けたい、その為に地元から声がございますのも充分その辺は考慮に入れて、松浦高校の再編の中で検討していくべきだと考えておるというのは、この前も私から申し上げたところです。そういう方向で今後地元に意見も十分私どもはお聞きしながら、松浦高校の適正規模の中でどうするかということを考えていきたいと思っております。

●堀江県議
 私はぜひ、今の時点では松浦東東高校の存続を求めるという住民のみなさんの声が歴然としてあるわけです。今議会でも陳情として出されておりますので、十分な合意が私は必要だと思いますので、そのことを強く求めておきたいと思います。