諌早湾干拓農地のリース問題
について堀江県議の質疑

9月28日 農林水産委員会

【永淵委員長】
 異議なしと認め、委員外議員の発言を許可することにいたします。なお、堀江議員におかれましては、発言につきましては簡潔、明瞭に、また理事者の答弁につきしても簡潔、明瞭にお願いしたいと思います。

【堀江議員】
 
堀江ひとみです。貴重な時間に委員外議員発言を許可していただき、ありがとうございます。そこで最初の質問ですが、今回の債務負担行為は、室長が説明されましたとおり2月議会に計上されております。今、9月議会ですので、なぜこの短期間に変更する必要があったのか、今の室長の説明では理解ができませんので、変更する理由についてもう少し説明をお願いしたいと思います。

【鶴田諌早湾干拓室長
 議員ご指摘のとおり2月議会におきまして、低利の融資で全額借りるということで私ども議会に説明し、ご承認いただいておりましたが、このうちの6分の5の資金につきまして、さらに有利なゼロ金利、無利子の金利制度というのが、本年度になって、この干拓事業も対象に入るということになったわけでございますので、私どもは、なるべく負担を減らすために最大限利用するという意味で変更に至ったわけでございます。以上でございます。

【堀江議員
 この農地リース方式のスキームにつきましては、県民から厳しい指摘があっております。
 これまでの農地リース方式のスキームにつきましては、農林公庫を利用しても県農業振興公社は利子相当分しか償還できず、永久に元金を償還できない。県農業振興公社の負担を軽減し元金の償還ができる仕組みが必要であること。リース料を値上げせず、償還期間が長く無利子の制度が必要だったこと。
 だから今回の新たな農地リース方式のスキームに変更したという県民の指摘があっているということも紹介をしたいと思います。
 そこで質問ですが、今回提案をされました新スキームの返済計画について、農林公庫、資金協会、長崎県と段階的に返還をするというふうに聞いておりますが、返還期問について回答してください。

【鶴田諌早湾干拓室長
 農林公庫の借入金は全体の6分の1相当額、約8臆4,600万円でございますが、これにつきましては現時点で利率1.95%、10年の元利均等償還ということで考えておりまして、10年間で返済することになります。資金協会借入金、これが無利子の資金でございまして、6分の5相当分42億3200万円。公社といたしましては有利子分の農林公庫に先に払いたいと思っておりますので、償還は11年目以降25年日まで、15年間で償還することになります。毎年のリース料では償還資金に不足いたしますので県資金から借り入れることになりまして、この県資金を借り入れた分を27年目以降、今の計算では84年目になりますけれども、県資金の借入金33.9億円を58年かけて支払うようなスキームを考えております。

【堀江議員】
 確認ですが、そうしますと、公社の償還期間は、農林公庫に10年かけて払うと、資金協会には15年かけて払うと、長崎県に対しては最後に払っていくわけですが、これは58年かけるということですか。これで間違いないですか。

【鶴田諌早湾干拓室長】
 そのとおりでございます。

【堀江議員】
 新聞報道によりますと、農林公庫が10年、資金協会は16年、そして長崎県に対しては72年かかるというふうなこれまでの今回の新スキームに対する返済計画があったんですが、その返済期間が短くなったということですか、これは。

【鶴田諌早湾干拓室長
 そういうふうに報道され、私どもも説明をしておりましたが、最近、金利の低下傾向がございまして、私ども一番有利な方法で資金を申し込んでおりまして、貸付決定時点と貸付実行時点のいずれか低い方で借りられることになっておりますので、現時点では1.95%まで下がりまして、その分、償還期間についても短くなるということでございます。以上でございます。

【堀江議員】
 そうしますと、最終的に公社が長崎県に対し完済をする期間は、今の説明でいうと83年かかるという計画になりますね。
 完済までに83年も要するというこの考えは、県民に理解が得られるのか。例えば県民が滞納したとします。その額は2万1,170円、1日1円、年間365円、これを58年かけて支払う。これを認めますか。通常、認めないでしょう。税金を滞納したら差し押さえの手紙が釆ますよ。県民には税金を納めるのにそういう対応をするのに、なんで長崎県だけが、県民の税金をこれだけ使うのに、58年かけて払えばいいと83年の完済を認めるんですか。県民の理解が得らるかどうか、このことについて質問します。

【鶴田諌早湾干拓室長】
 私どもがそもそもリース制度をこのように構築いたしましたのは、環境保全型農業を導入するためでございます。最初に売却という形で一般の農業者に処分いたしますと、肥料や農薬等の使用につきましては、有害物質等を使わない限りは個人の裁量の範囲ということになりますけれども、諌早湾干拓地につきましては環境保全型農業、具体的には化学肥料や化学農薬を2分の1以下にしたいということで、リース方式で協定を結びながら農業をやっていただく、これが一番環境に負荷をかけない環境保全型農業が構築できるというふうに制度設計しているところでございます。

 そもそも私ども農業振興公社が永久にこの農地を持ち就けるということを目的として導入したものではございませんので、例えば今後決まります農業者が農業生産を行っていく間に、例えば環境保全型農業が構築できて、資産状況もよくて、なおかつその方が購入の意向があれば、私どもとしても売却を視野に入れて考えたいというふうに現在のところ思っておりますので、もしそういう状況になれば、83年間というのを減らし繰上償還という形で、県の負担をなるべく減らすような格好でいきたいというふうに現在考えているところでございます。

【堀江識見】
 干拓農地を売る、売らないの問題は、これはさまざまな問題があって、今回私はこのことについては触れませんけれど、完済計画について全部あわせて83年かかるという計画は、リース料金が完了されて地震や台風、新たな事態が発生しないという計画のもとにされているというふうに思います。
 そうしますと、地震や台風やさまざまな問題が出た時は、公社は財源がありませんから、結局、県の新たな貸付となっていく。そうなればさらにこの完済計画は延びるというふうに理解していいですか。

【鶴田諌早湾干拓室長
 リース料収入でございますけれども、当初5年間は標準1万5,000円、6年目以降2万円ということで徴収いたします。この中で当初5年間は、そういう積立金として10%、6年目以降は5%を積み立てて、そういう不測の事態の用に備えて積み立てておくということで考えております。もしそういう不測の事態等が起きた場合にはそれで対応いたしますし、起きなければ、これをまた繰上償還の財源に充てていきたいと、そういうふうな計画を考えております。

【堀江議員
 
だから、その不測の事態で、室長が言う積立金の範囲を越える状況もあり得るということですね、結局はですね。
 そこで質問ですが、この問題は地方財政法に違反をするという指摘があっています。単年度だけの収支の均衡だけでなく、長期的に見て収支の均衡を保持し得るような歳入、歳出の構成になるように財政運営をするように地方財政法では求められているんですが、こうした83年、あるいはそれ以上もかかって完済をするという、こういうやり方については地方財政法に違反するという指摘があっているんですが、そういうお考えはお持ちではないですか。

【鶴田諌早湾干拓室長】
 
議員ご指摘の点につきましては、ただいま長崎地方裁判所の方で裁判が行われておりまして、これは9月に結審をしておりますけれども、その中で私ども県といたしましても、地方財政法には違反しないということを主張しております。以上でございます。

【堀江議
 最後にしますけれど、これは地方財政法に違反をしているという弁護士の指摘もあっております。私もそう思います。それに限らず、完済をするのに83年かかるというこういうスキームのやり方というのは県民の理解は得られないと、私はこのことを強く指摘しておきたいというふうに思います。