アサリへい死問題での堀江県議の質疑
9月27日農林水産委員会

【永淵委員長】
 ほかにございませんか。それでは、ここで委員の皆様にお諮りしたいと思いますが、堀江議員より、小長井町漁協地先におけるアサリのへい死について委員外発言をしたい旨の申し出があっておりますが、これを許可することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

【永淵委員長】ご異議なしと認め、委員外議員の発言を許可することといたします。なお、堀江議眉に申し上げますが、発言につきましては重複する点もあろうかと思います。ひとつ簡潔、明瞭にお願いしたいと思います。

【堀江議員】
 委員外発言を許可していただき、ありがとうございます。堀江ひとみです。今、委員長言われましたように、アサリのへい死について質問をしたいと思います。8月 26 日、総合水産試験場を中心として、全地区で調査を行いましたと部長説明がありました。この調査結果を地区ごとで示した地図がありますね。その地図を提出してください。資料としての提出を求めます。

【永淵委員長】
 今、要語がありました調査地点の地図については、資料の提出できますか。

【吉塚水産基盤計画課長】
 今から配付いたします。
(資料配付)

【永淵委員長】全部いきましたか。では、堀江議員

【堀江議員】
 委員長の許可をいただいて、今の同じ地図を私、マーカーで示してきたんですけれども、調査の結果は、金峰及び長里地区において、地図でいうと下の方ですね、諌早湾の北部排水門の近くで100%のへい死率、釜、土井崎といわれる佐賀県側、地図で言うと上の方が10%のへい死率ということで、これは説明のとおりです。
 そこで、へい死の原因について質問したいんですが、部長説明で赤潮と貧酸素の同時発生と思われるというふうに断言をしておられます。そこで質問なんですが、赤潮、シャツトネラの最高値が確認されたのはどの地区か。数日ごとにこれは速報値が出されているんですが、26日の調査結果ですので、その前に当たります8月 24 日の速報値でシャツトネラの最高値、赤潮の最高値がどこに出たのか、このことをまず質問します。

【吉塚水産基盤計画課長】
 8月24日現在の最高値でいきますと…。ちょっとお待ちください。私が持っていますシャツトネラ調査の速報値で、8月24日に実施した結果でございますが、7,500ですね、観測地点H−4というところでございまして、北部の釜地区で最高値に達しているところでございます。

【堀江議員】
 つまり佐賀県側,へい死率でいうと2%、6%という釜地区、土井崎地区で赤潮の最高値が高いという数字が出ているんですね。漁民の皆さんが一番疑問に思っているのは、赤潮とか貧酸素が原因であるんだったら、この赤潮の最高値が出ていたところでアサリのへい死率も高く出るべきだと。しかし、実際に出ているのは、北部排水門の干拓堤防付近がなぜ100%なのかと、こういう疑問なんです。
 そこで、赤潮と貧酸素が自然災害で片づけられるか、このノ酎こついて質問したいというふうに思っています。
 これまで各研究者が指摘をしているように、有明海というのは、以前は赤潮、貧酸素水というのは発生しない海として知られていたといわれます。これは私が言うまでもないと思うんですが、有明海では干満の差が5メートルもあるという、そういう大きな潮汐おります。
 つまり、干拓堤防の閉め切りによってこうした潮汐や潮流が弱まり、海水が団をなして重なる、つまり成層化すると、空気中の酸素が十分に海中に行き渡らなくなり、酸素濃度の極端に少ない水、いわゆる貧酸素水塊が発生をする。
 さらに、調整池から排出された海底にたまる有機物などにも分解のために酸素が使われ、ますます貧酸素状態になります。また、海水の成層化は大規模な赤潮を頻繁に発生させていると言われています。
 平成13年12月、農林水産省の有明海のり不作等対策関係調査検討委貝会、いわゆる第三者委員会でも、干拓堤防締め切り後の環境変化として、6項目を挙げて赤潮の増加、貧酸素水塊の発生をその2つに指摘をしています。私は、これらこれまでの研究の上に立っても、赤潮、貧酸素が単なる自然災害と片づけられないというふうに思うんですが、見解を求めたいと思います。
 つまり私が言いたいことは、もともと有明海というのは、細長い中でこれだけ5メ−トルも干満の差があると。それをこの堤防が締め切ったということでそれがなくなり、赤潮の発生や貧酸素の発生が頻繁に出てくるようになったというのは、これはもうこれまでの研究者の指摘ではないかと。
 だから、そういう意味で単に今回のアサリの大盈死の問題を、赤潮、貧酸素と言っている、そのまま聞けばこれは自然災害だと聞こえるんですが、果たして自然災害なのかというのが私の疑問です。
見解を求めます。

【吉塚水産基盤計画課長】
 有明海におけます赤潮の被害でございますが、締め切り堤防が築かれました平成9年以前におきましても、全然発生していないわけではなくて、全く発生していなかった状況ではございません。平成4年には、赤潮で6,000万円から7,000万円ぐらいの被害額が出ているということもございます。
 ただ、昨今、有明海周辺で赤潮が連続して起こっているというのは事実、厳然たる事実であろうかというふうに考えています。もう一つ、諌干との関係で議論されるわけですけれども、今年の状況としては、赤潮は佐賀から下ってきておりますし、被害の状況におきましても、先ほど中村委員のところで言いましたように、赤潮が一時ピークを超えて、1回消滅しかかったところで、また若干持ち直した段階で小潮と重なって貧酸素が形成されて、それがダブルパンチで大量へい死が起こっているという状況は、多分、間違いないのではないのかと。
 ただ、貧酸素水塊がなんで、どういうふうに関係するのかということにつきましてもですね。確かに平成13年の第三者委員会の指摘はございます。これは、排水門の開門調査の議論
をする時に、こういうおそれがあるということでまとめられた論文でございます。
 要するに学者の方々が、こういうおそれがあると、赤潮の発生等を踏まえて、こういうおそれがあるから、開門調査をやるべきなんだということをまとめられた報告書だと思っています。その後、それを受けまして、平成14年4月から5月にかけまして短期開門調査が実施されましたが、その学者の提言によりますと短期、中期、長期の開門調査をやれということを提言されたわけですが、中期、あるいは長期の開門調査におきましては、調査をしますと水が上がってきて干拓地が水没するだとか、いろいろな問題があって、調査をするためには多大な費用を要するんだということで、大臣の発言として、開門調査をやる方法ではなくて、これに代わる方法を進めていくということで、現在、農政局、あるいは水産庁がいろんな有明海再生に関する調査、それから再生にかかる技術開発の実証検証をやっているということでございまして、平成13年度の議論がそのまま結論ではなく、そういう可能性があるということを言っただけであってですね。
 その後を受けまして、有明海特措法にと基づきまして、先ほど言いましたように有明海・八代海総合調査評価委員会、これも大学の生物の先生であるとか、水産の先生であるとか、あるいは物理工学、海岸の工学の先生であるとか、そういう人が集まって、赤潮の問題であるとか潮流の問題だとかを議論していたところでございます。
 昨年12月に最終報告書ができまして、要するに今後の課題として、赤潮の発生システムについてはまだ解明されない部分があるということになっております。
 したがいまして、今の段階で、県の段階で諌干事業が絶対の悪なんだということを断言することには至っていないということでございます。以上でございます。

【堀江議員】
 私は委員長から簡潔な質問をと言われていますので、答弁も簡潔にお願いをしたいというふうに思います。(笑声)言葉尻をつかまえて悪いんですが、この第三者委員会というのは学者、研究者だけじゃないんですよ。各県の漁連の代表も入っているじゃないですか。そこら辺は正式な答弁をしていただきたいと思うんですが。
 今の答弁は、要は、私は今回のアサリの大量死という問題は、諌早湾干拓は、関係ないと言うけれども、赤潮や貧酸素というのは自然に起きたものではないんじゃないかと。この諌早湾の堤防の閉め切りとも大きく関係しているのではないかというふうに私が指摘をしているわけです。
 でも、そのことについては明快な、県としてはもちろん関係があるとは言わないでしょう。だから漁民の皆さんが言っているのは、これからこういうことがまた起きてくると。どんなに今回のアサリの大量死の問題で県が対策をとって、養殖場をまた再生をしたとしてもまたあり得るんだと。
 そういう意味では、干拓事業との関係を究明をしてくれと、こういうふうに言っているんですよ。これは単に農林部の問題だけではなくて、水産部の問題でしょう。アサリやカキがどうなるかというのは水産部の問題ですから。
 私が言うのは、赤潮、貧酸素ということであれば、それは自然災害ではないと。諌早湾干拓事業との関連があるという指摘もあっているわけだから、それは13年の指摘にしてもそう予想されると、もう平成13年に言っているじゃないですか。そういうふうになるんですよ。だから私が再度質問したいのは、原因究明について。諌早湾干拓事業との原因究明をしてほしいという住民の声にこたえていただきたい。その見解を求めます。

【吉塚水産基盤計画課長】
 赤潮につきましても、貧酸素につきましても、重大なポイントだと思っております。水産試験場をはじめ、海洋観測、それから現地に試験研究も含めてかなりの部分を投入しておりますし、先ほど言いましたように有明海・八代海の委員会の方にも情報提供できるように、あるいは関係の4水産試験場との連携、あるいは西海区水産研究所との連携をさらに深めまして、とにかく貧酸素水塊の解消、あるいは赤潮対策の問題の解消に努力していきたいというふうに考えております。

【堀江議員】
 最後にしますが、漁民の皆さんが言ったのは、私は現地に行って聞きましたが、真ん中辺の小川原浦地区、長戸地区というのは、26日の調査の段階では13%、14%だったんですよ。
 ですが次の日、一晩でこれはへい死率100%になっていますね。なぜか。先ほど中村副委員長も、一般質問や今日も言いましたけれど、北部排水門から25 日に排水をされている。これは東京ドームの約4杯分というふうに報じた記事があるんですが、この排水がいわば直撃をして、この小川原浦地区や長戸地区の13%、14%が100%になったのではないかというのが漁民の皆さんの考えです。
 この排水門との兼ね合いについては、これは農林部だというふうにいわれておりますので見解は求めませんけれども、私が言いたいのは、今回のアサリの大量死の問題はこの時点のことだけではなく、その後カキにも被害が広がるというふうに被害は本当に拡大をしています。
 そういう意味では、アサリの今回の大量死の問題を、干拓事業との関連において、先ほど答弁がありましたけれども、ぜひ原因究明を行っていただきたいということを再度要望して、質問を終わりたいと思います。