1分間の短縮に104億円つぎ込むより、県民の暮らしと福祉に
堀江ひとみ県議が初めての一般質問
 
 2007年6月21日、日本共産党の堀江ひとみ県議は初めての一般質問を行いました。
 初質問を見ようと、多くの市民と支持者が県議会を傍聴しました。
 堀江県議は、子どもの医療費助成、国保、新幹線、諌早湾干拓、高校教育…など6項目について質問し、知事の姿勢をただしました。
 堀江県議は、1分間縮めるのに長崎新幹線の建設費が104億円かかるという答弁を引き出し、「税金を新幹線に使うのでなく、子どもたちや国保税を引き下げることにこそ、使うべきだ」と、強く主張しました。
 堀江県議が壇上から行った質問は以下の通りです。
  
日本共産党の堀江ひとみです。通告に基づき質問いたします。

 第一は、乳幼児医療費助成事業の現物給付についてです。
長崎市が今年4月より、現物給付制度にふみきり、窓口払いは一回800円だけ・月1600円までですむようになりました。子育て中のおかあさん・おとうさんから喜びの声がたくさん寄せられ、私までも嬉しくなります。
 「心臓に病気がある子なので、一回の支払いが3000円以上はかかりました。それが800円ですむので、安心して子育てしています。」「今までは、夜中に子どもが病気になったときが大変だった。深夜加算で医療費も高くなるし、タクシー代もかかるし、きつかったねぇ。これから800円ですむっていうのは、ホントにいいですよ。」
 これまで、病院窓口で一旦全額支払いその後手続きをして、後日保護者に戻ってくる償還払い方式は、子どもの病気のとき財布の中身を気にしなければなりませんでした。それだけに、安心して子育てできる現物給付方式は、市民の強い要望です。
 長崎市が、この要望に応えて、現物給付方式を実施したことに対して県は、これまでの補助率2分の1を3分の1に削減するといいます。
 私は、長崎県の対応に、強く抗議いたします。一番求められる子育て支援は、所得に関係なく子どもの命が大切にされるということ、安心して子育てができると言うことです。補助率を増やすことはあっても、削減することは許されません。それは、委任払い制度で保護者の負担を軽減してきた大村市に対しても言えることです。
 長崎県はこれまでどおり、長崎市・大村市に対し、補助率を堅持すべきです。知事の見解を求めます。

 第二は、高すぎる国保税引き下げのために、県が財政支援をおこなうよう、求めます。
 国民健康保険税が、高くて払えません。今月から定率減税の廃止など住民税の増税が、県民の暮らしを直撃します。国保税・介護保険料、県営住宅家賃など、連動して値上げになります。
 国保税が払えないと、「資格証明書」となります。病院窓口で、全額支払となりますから、制裁措置として国保証は取り上げられます。
 長崎市では、国保税が高く国保に加入できず、病気になった妹が、病院にいけなくて、数珠を枕元において動けずにいました。心配し訪問した姉が発見、緊急に病院に搬送しましたが、手遅れで数日後に死亡しました。五島市では、国保税が払えず資格証明書となった70代の夫が、脳梗塞で倒れたのに病院にかかれませんでした。何とかしてほしいと、妻が党市議団に相談してきました。早速、担当課と連絡をとり、受診することができました。
 担当課の資料によれば、長崎県下で国保滞納世帯は約56000世帯。国保加入世帯の17%です。そのうち、資格証明書発行世帯は約3500世帯にのぼります。
 なぜ、こんなに国保税が高いのか。一つは、国庫負担率の削減です。45%から38.5%に国が引き下げました。これが、市町村の国保財政を悪化させました。私は、地方選挙後の5月、厚生労働省に申し入れました。「命をおびやかす国民健康保険証のとりあげを中止し、一人あたり一万円の国保税の引き下げをおこなうなど、安心できる国保行政への改善を求める要請」を、日本共産党九州7県合同で、おこないました。
 国保税が高い二つめの理由は、長崎県の対応です。県民のくらしを応援する県政になっていません。国保税引き下げのための財政支援を、おこなうべきと考えますが、見解を示していただきたい。

 第三は、諫早湾干拓事業についてです。
 今月15日、諫早湾干拓の工事差し止めを求める「有明海訴訟」の公判が、佐賀地裁でおこなわれました。6人のノリ養殖漁民が、干拓堤防締め切り後の海の異変とノリ漁業の被害について、証言しました。なかでも被害が深刻なのは、干拓排水をまともにうける福岡県大牟田地区です。
 1983年から23年間ノリ養殖専業でやってきた新大牟田漁協の松藤さんは、「養殖の漁場は、大牟田沖合いの潮流の早い日本で一番良い場所で、とれるノリの量も質もいちばんよかったが、干拓堤防締め切り後はいちばん悪くなった。堤防締め切りで最も変わったのは潮流が遅くなったこと。かつてはクイを立てる作業も、潮の流れが早くて干潮前後の潮が止まる時しかできなかったが、今はクイ立て作業がいつでもできるようになり、潮の流れが遅くなったことを実感している。
 堤防締め切り前、平成5年から9年まで5年間、年平均生産高は3532万円だったが、締め切り以降平成10年から平成18年までの9年間、年平均は2259万円、平成10年の大凶作を除外した年平均でも2461万円で、年1000万円32%も減ってしまった。
 かつて大牟田地区は最良の漁場で、ノリ漁民が84人いたのが、いまは56人に減った。堤防締め切り後、海がおかしくなり被害がでていることは明白で、とにかく開門調査をきちんとして、対策をたて海を元に戻してほしい。」と訴えました。
 国と長崎県がすすめた諫早湾干拓事業は、宝の海といわれた有明海の環境を破壊し、漁民の生活を破壊しました。将来展望を奪われ、自殺者はすでに20数名になっています。
 日本共産党は、本格的な有明海再生へ向けて、排水門をただちに開門し、調整池に海水を入れるよう、緊急の提言を行いました。
 2002年におこなわれた、わずか1ヵ月の短期開門調査の時でも、「その時は多くの魚が採れた」と、漁民が証言しています。
 開門は漁民の強い要求です。干拓工事中止を求めた地裁決定を認めなかった高裁も、干拓事業が有明海の環境破壊の主犯と認めなかった公害等調整委員会も、いずれも開門調査の必要性を述べています。国はただちに、漁民のみなさんの切実な要求にきちんと向き合い、排水門をあけるべきです。
 長崎県は、有明海再生のために、中長期開門調査を実施するよう、国に求めるべきです。知事の見解を求めます。

 第四は、新幹線建設に反対の立場で、質問します。
 知事は、今議会、不退転の決意で建設推進にあたりたい。長崎県内は推進で一本化しているという趣旨の答弁をしています。
 しかし、県民すべてが新幹線建設推進ではありません。長崎県内でも、新幹線反対の世論が歴然とあることを、知事は認識しているのかと指摘したい。
 県がおこなった平成18年長崎県県政世論調査。「あなたは、今後住みよい郷土づくりや本県の振興のために、どの公共機関の充実に力を入れてほしいと思いますか」との問いに、九州新幹線長崎ルートは33%。3年前の調査の時40%だったことと比較すれば、新幹線を必要と考える県民は少なくなっています。
 先の県会議員選挙でも、新幹線は必要か否か、問われたと思います。県民の中に、新幹線反対・あるいは慎重にという意見がある中で、長崎県は、推進だけに県民の税金を使っているではありませんか。私は納得できません。こうした税金の使い方は、すぐにやめるべきです。
 そこで質問します。新幹線推進のために、どのように税金を使ったのか。さらに建設のための県民の負担はいくらか。明らかにしていただきたい。推進だけに税金を使うことについて、見解を示していただきたい。

 第五は、高校授業料の滞納措置についてです。
 県立高校の保護者に、今月「授業料滞納者へ対する措置規定について」と題する、プリントが届けられました。内容は、「長崎県立学校管理規則改正に伴い、授業料滞納者に対する措置規定が制定されました。」として、3ヶ月未納で出席停止、5ヶ月未納で退学となっています。
 生徒や保護者から、驚きととまどいの声が寄せられました。
「子どもに、おかあさん、ちゃんと授業料は納めてよ。と心配されました。」「ここまで、県はやるんですか。教育環境を整備するのが、行政の仕事ではないんですか。」
 私も、そう思います。出席停止・退学を規則に盛り込むのは、直ちにやめていただきたい。規則から、削除する考えはないか、質問します。

 最後に、自衛隊の国民監視について質問します。
 日本共産党に寄せられた内部告発により、自衛隊が国民の動向を監視している事実が、明らかになりました。
 陸上自衛隊の情報保全隊が作成した資料によれば、自衛隊のイラク派兵などに反対する運動、医療や年金、消費税反対などの自衛隊とは関係のない市民運動まで監視していました。大学生や高校生の平和活動も監視されていることが、明らかになりました。
 全国の市民団体やジャーナリスト、宗教団体などの動向を調査し、41都道府県289団体・個人に及んでいます。蓄積された情報は、共産党、社民党、民主党・連合系労組、その他の市民運動などとアルファベットで分類され、一週間ごとに集計、「イラク自衛隊派兵に対する国内勢力の反対動向」と題して表やグラフにまとめられています。 長崎県で監視された団体は21団体にのぼり、北海道についで、全国で2番目に多くなっています。
 自衛隊が国民の動きを監視し、記録するなどというのは、日本国憲法を踏みにじり、自衛隊法などにも根拠をもたない違憲・違法の活動です。自衛隊という軍隊が国民の知らない間に、国民のあらゆる活動を系統的に調べ上げ記録するというのは、戦前の「憲兵政治」復活にもつながる重大問題です。しかも、過去の一時期の問題ではありません。現在進行形で続いている問題です。
 ことは、自衛隊のイラク派兵に賛成か反対かなどという問題にかかわりなく、国民全体の自由と民主主義にかかわる問題です。どんな口実があれ絶対に許されません。日本共産党はただちに中止するよう、政府に申し入れました。
 金子知事。知事は県民の安全を守る立場にあり、被爆地ナガサキの知事であります。知事として、久間防衛相に対し、中止の申し入れをする考えはないか、質問します。監視された団体の中には、知事の支援団体もあるわけですから、見守る対応では済まされません。知事の見解を求めます。