2007年度長崎県予算案への反対討論

 2007年3月15日、中田晋介県議にとっては最後の定例会での本会議。日本共産党を代表して、予算案への反対討論を行いましたので、紹介します。
 日本共産党を代表して第1号議案 平成19年度長崎県一般会計予算ほか3件の予算議案に反対する討論を行います。
 平成19年度予算案では、敬老祝金の廃止と乳幼児医療費助成の現物給付への補助金削減が計上されています。県庁裏金問題で県政に対する不信が強まるなかでの県福祉制度の重大な改悪であり、条例議案と併せて反対いたします。

 敬老祝金制度は、1970年に創設され、以来37年間、多い時には77歳以上のお年寄り6万人に贈られてたいへん喜ばれてきました。今回の県の廃止提案に対して「働きずくめで頑張ってきた年寄りに、政治はごくろうさんの気持ちもないのか」「裏金に使う金はあっても、こんなことに使う金はないのか」と怒りの声が上がっています。

 また県は、乳幼児医療費助成で現行の償還払いを現物給付に移行する市や町への補助金を2分の1から3分の1に削減する方針を打ち出しました。
 お金が無くても子どもが病院にかかれるようにするため圧倒的多数の県民が現物給付を求めています。

 この声に応えて長崎市をはじめ現物給付にする市や町が広がろうとする時、その実施を妨害する県の制度改悪であり、中止するようつよく要求いたします。

 予算案には、定率減税の廃止で10億3千万円の県民税増税、森林環境税3億3千2百万円の負担増、県立高校授業料の連続値上げなどが計上されており、県民の暮らしを苦しめるものであり反対いたします。

 一方、有明海を死の海にした諫早湾干拓には、今年も27億4900万円が注ぎ込まれ、さらに第74号議案 平成18年度の補正予算第7号では、県農業振興公社が農林漁業金融公庫から受ける53億円の融資への損失補償が提案されています。これは干拓農地を県のダミーに買わせて、53億円もの県民の税金を不当に投入するシステムをつくるものであり、条例議案と併せて反対いたします。

 今年もまた西彼杵高規格道路整備費57億円、街路浦上川線38億円など大型公共事業や、誘致企業のための団地造成に8億4千万円、賃貸工場建設に5億3千万円と注ぎ込まれます。とくに誘致企業への助成限度額を11億円から30億円に引き上げて全国で上位クラス、九州ではトップの優遇措置にしました。こんなことはやめて県民の暮らし優先に使うべきであります。

 第88号議案、89号議案の補正予算には、県庁裏金問題で金子知事の処分による30%3ヵ月の減給分が計上されています。7年前に裏金を知りながら適切な対応をせず、昨年発覚後もなんとか隠そうとした知事の責任の重大さからして、真相究明も不十分なままこれで幕を引こうとする提案には反対いたします。

 最後に、今後の県政について申し上げます。私は、7期28年県会議員として久保、高田、金子の三代の知事の県政を見てまいりました。その中で感じることは、昔はもうすこし県民の暮らしに思いやりのある県政だったということであります。

 久保知事も自民党から出た知事でしたから、「大型開発で県政の浮揚を」と掲げました。同時に「福祉優先の県政」とか「教育県ながさき」と掲げ、敬老祝金や乳幼児医療費助成の充実に力を入れ、県立高校をあちこちに作りました。
 当時、県民の暮らしを支える生活福祉費、環境保健費と教育費に予算の半分を使っていました。それがいま金子県政では、三分の一に減り、お年寄りへの敬老祝金はついに廃止、こどもたちの医療費助成の現物給付は補助金削減、県立高校も次々に廃校になっています。いまや県民の暮らしを思いやる「福祉の心」が県政から失われています。

 大型開発と誘致企業優遇に明け暮れる税金のむだづかいをやめて、県民の暮らしに活かし、真に県民が主人公といえる県政への転換を強く求めて討論といたします。