傍聴に来た市民と
質問後握手を交わす

中田晋介県議
裏金業者から政治献金、諌早湾干拓への公費投入
中田県議が厳しく追及
 
06年12月7日 中田晋介県議の一般質問


 日本共産党の中田晋介です。党を代表して知事並びに立石副知事、横田教育長に対して質問通告の「その他」に新しい事態が生じた預け・裏金問題を加えて質問いたします。
 いま金子県政は続けてきたその政治の結果、三期目にして四重苦に見舞われています。 第一に県民の信頼を失墜した県庁裏金問題、第二に給食費を私費流用した小学校長を処分もせず普通退職にして隠蔽した問題、第三に諫早湾干拓事業の農地リ−ス制度の53億円問題、第四に行き詰まっている新幹線問題です。いずれも、県政を左右する重大問題であり、以下質問いたします。

 第一の県庁裏金問題については本会議の集中審議で明らかにした通り知事が預けという裏金の存在を知りながら、県民に公表も是正もしないまま違法な使い方を公認したため、結局3億3千5百万円もの税金が裏金として違法に使われ、県民に多大な損害を与えたました。この責任はまことに重大であり、知事が明確に責任を取ることを要求いたします さらにその後、県の公金を預けとしてプ−ルしていた企業とその社長から、知事の資金管理団体「明日の長崎県を創る会」が政治献金を受け取っていたことが明らかになりました。知事は「知らなかった。政治資金規制法で適正に処理している。問題はないと思う」と言っていますが、知事が自らつかう政治資金を、どこからもらっているか知らないはずがありません。それとも届けを出すのにだれから貰ったかチェックもしていないのですか 今回の件について知事がたとえ知らなかったとしても、悪いことであれば、その政治的責任は重大です。知事は預けという違法行為を行っていた納入業者から献金をもらっていて、本当になにも問題ないと思いますか。

 私の調査では、知事の資金管理団体「明日の長崎県を創る会」は、知事就任の1998年に、企業443社、99年には455社から5万円以上の政治献金を受け取っています 2000年から企業献金が禁止され、社長などの個人名義になっていますが、毎年2〜3百人から5万円以上献金を受け取っています。県への納入業者も多く含まれていますが、この中で預けにかかわった会社又はその関係者は何社、何人ですか、質問いたします。


 第二の長崎市の小学校長の給食費流用について、県教育委員会は処分なしで普通退職にし退職金まで支払った事について非を認めず、誰一人責任をとっていません。
 これに対して県民から「校長に退職金を返還させる措置を求める住民監査請求」がおこされ、県監査委員は監査の結果、退職金返還請求については「懲戒処分に該当する証明がいまだ不明確」として棄却しました。しかし、その監査結果に付した意見で「県教委は、長崎市教委から先に提出された処分内申と、その後提出された相反する退職内申のどちらが市教委の最終判断であるかの確認をしていない。さらに3月15日の人事異動内示・普通退職の際にも、処分内申の取り扱いを双方とも確認していない。このような状況下で行われた本件普通退職発令は、教育行政のありようが問われる遺憾な事態といわざるを得ない。今後は、本県教育行政に対する県民の信頼を損ねることのないよう、県教委は市教委と相互に連携を深めつつ教育行政の推進にあたられたい」と厳しく批判しています。

 この遺憾な事態を引き起こした主役は県教委です。処分内申の扱いを市教委と確認もせず、調査途中で、はやばやと校長の退職願を受理し普通退職を発令したのは県教委です。 県民から見れば子どもたちから集めた給食費を、自分の借金払いに流用したと供述している校長の犯罪が隠蔽され、処分なしの普通退職で2000万円の退職金まで支払われたという絶対にゆるせない事態であります。

 県教委が監査委員の意見を重く受け止めて、対応の誤りを認め責任を取るべきではありませんか。当時の教育長としてこの問題の責任を負うべき立石副知事に質問します。


 第三に諫早湾干拓については、知事は干拓農地をリ−ス制度にする、と提案していますが、そのためには国から一括払い下げをうける資金53億円を県が用意しなければなりません。今、県の財政がこんなに苦しいとき、それだけの財源を振り向ける余裕もありませんし、無理をしてつぎ込めば当然県民向けの施策が削られることになります。すでに諫早湾干拓の県民負担は総額423億円で毎年30億円の負担が県民を苦しめており、この上リ−ス制度に県民の税金53億円をつぎ込むことは絶対に許されません。

 土地改良法では、干拓農地は営農を希望する農民に国が払い下げるのが原則で、県が払い下げを受けることは禁止されています。県が一昨年11月に行った農民の営農意向調査では、希望者のもとめる面積が2500ヘクタ−ルで払い下げ農地の3・6倍、うち買取り希望と買取り・リ−スのどちらでもよいを合わせると918ヘクタ−ルで払い下げ農地の1・3倍ですから、そのまま農民に払い下げれば、農業振興公社をダミ−に使って53億円もかけなくてもすみます。どうしてそれをしないのか、県民の税金負担にはしないと約束できるか、質問します。


 第四に新幹線については、NHKテレビが11月24日「新幹線は必要か」という特集の討論番組を放映し非常に注目されました。
 私が印象深かったのは、新幹線をめぐって各地を取材したNHKのリポートでした。これまで「長崎新幹線をつくれば観光客が増え大きな経済効果がある」といわれてきましたが、実はそうではない。山形、新潟の新幹線では開通当初こそ観光客が増えたけれども、3年も経つと開通前より減った。東北新幹線でも開通を当て込んで建てたホテルや温泉がお客が減って倒産したり寂れたりしている映像は強烈でした。さらに深刻なのは平行する在来線の町で、鹿児島新幹線の平行在来線が第3セクタ−の肥薩オレンジ鉄道になったが、運賃が3割値上げで乗客が減り、赤字経営になるなかその中心の阿久根市の疲弊した姿をみながら、同じ平行在来線の鹿島市長がこれを繰り返すことは出来ない、という意見は非常に説得力がありました。

 まず、長崎新幹線の観光客増と経済効果をどう見込んでいるのか。3年で落ち込んだ山形、秋田の先例があるなか、長崎では増えるというどのような保証があるのか。平行在来線をこんなに犠牲にして長崎さえよければいいのか。質問いたします。

 次に、新幹線建設の県民への影響について聞きます。本県ではあいつぐ大型開発が県民向け施策を遅らせてきました。諫早湾干拓に毎年30億円つぎ込みながら、少人数学級は「金が掛かる」と断りつづけ他県よりは4・5年遅れとなりました。子育て支援の医療費助成では、窓口払いがいらない現物給付にしようとしないでいまだに償還払いをつづけている全国12県の一つです。市町村国保への県の独自の助成はとうとうゼロです。

 今度は新幹線に毎年30億円つぎ込めば、県民向け施策の遅れを更にひどくせざるをえません。県民生活優先に切り換えるべきではないか。質問いたします。


 第五に、乳児医療費助成の現物給付について質問します。現物給付が実施されますと、病院の窓口払いがなくなり、お金の心配なく病院にかかることができ、子育て世帯がいっそう有効に制度を利用できるようになります。そのため、県が行っている償還払いから現物給付への改善をもとめる県民世論がますます強まり、昨年秋、子育て団体や医療関係者でつくる「乳幼児医療長崎ネット」が実施した子育て世帯12000人に聞いたアンケ−トでも、現物給付をのぞむ声が86・6%と圧倒的多数でした。この声に応え、伊藤長崎市長は「来年4月から市単独で現物給付を実施する」として、12月市議会に条例改正と、制度準備の補正予算を提案しています。

 全国でも一層の子育て支援のため現物給付への改善が大きな流れになっており、2002年度千葉県が入院と3歳未満の通院を償還払いから現物給付に。2004年度大阪府が、3歳未満の入通院を現物給付に。2005年度宮城県が、入院と3歳未満の通院を現物給付に。おなじく同年栃木県が、3歳未満の入通院を現物給付に。2006年度滋賀県と岐阜県が、一部償還払いを全面的に現物給付に。と、この5年間に、2県が全面的な現物給付に、4県が部分的な現物給付に改善しています。また、この9月議会で山梨県知事が「来年度から現物給付にする」と表明しており、これで、本県のような全面的な償還払いの県は、47都道府県中、12県だけとなります。

 これは各県とも、金子知事がいうような予算がかかるという障害を乗り越えて、県民の声に応えたものであります。是非、金子知事も県民全体のために現物給付を実施するよう求めて質問いたします。


 第六に大型店問題として、長与町に出店が申請されているダイヤモンド・シテイ計画への県の対応について質問します。 今年5月、大規模集客施設の立地の適正化や中心市街地の活性化を目指して、まちづくり3法が改正されました。内容は都市計画区域の市街化調整区域では1万平方メ−トル以上の大型店の出店を禁止することなどであります。この法改正にともなって知事も九月議会で「これからのまちづくりを進めていくうえで、人や環境にやさしく、にぎわいと秩序のあるコンパクト・シテイの構築が大切であると考えており、今後県全体のまちづくりに関するガイドラインの策定を通じて、県と市町が一体となった暮らしやすく魅力的なまちづくりを積極的に推進してまいりたい」と表明しました。
 今回、長与町に計画された大型店は、市街化調整区域の中にあり、改正された法が施行されれば実行できないものであります。これは、法改正の趣旨に反し、知事のコンパクトシテイを目指す構想にも反するものではありませんか。

 長崎市の伊藤市長は9月市議会で、この計画は「交通渋滞を起こす。市北部の商業施設に被害をもたらす。周辺の教育施設の環境悪化をひきおこす」という三つの理由をあげて事実上反対し、知事に慎重な対応を求めると表明しています。
 いま県で開発許可の事前審査がおこなわれていますが、都市計画上の交通、環境などとあわせて、商業や雇用・教育への影響など総合的な検討が必要であります。

 現在、この問題は、開発許可は建築課、道路・交通・都市計画は都市計画課、大型店は商工金融課と所管がわかれています。そうした別々の検討ではなく、各部にまたがる事なので、たとえば副知事を責任者にして検討会をつくり、総合的な検討が必要であります。そうして、現行法と制度を積極的に活用して計画を中止させるべきであると思いますが、知事の考えを質問して本壇からの主質問を終わります。