2006年度長崎県予算案への反対討論 
             
 06・3・30 本会議 中田晋介)



 第1号議案 平成18年度長崎県一般会計予算及び第78号議案 平成18年度長崎県一般会計補正予算(第1号)に反対する討論をおこないます。


 今の県政が県民の暮らしをよくしているかどうかを計る指標となる、いちばん新しい2003年度の県民所得の全国集計が、さる3月14日発表されました。それによりますと、長崎県は47都道府県中なんと45位、下から3番目であります。

 ふりかえってみますと、いまから36年前久保知事が登場した時、本県の県民所得は43位でした。久保さんは選挙で「大型開発と公共事業で県勢浮揚をはかる。2期8年で県民所得を30位代に上げて見せる」と公約し、松浦火電、上五島石油備蓄基地、工業団地造成そして諫早湾干拓に総力をあげました。
 しかし、3期12年してやめるときの県民所得は1位あがっただけで全国42位でした。それを受け継いだ高田知事の4期16年と金子知事の2期8年も、大型公共事業と企業誘致が中心の同じやりかたの県政が続きましたが、県民所得は上がるどころか逆に下がりました。金子知事の1期目は46位と過去最低に落ち込み、いま45位であります。

一人当たりの県民所得は、全国平均である国民所得の4分の3しかなく、久保知事最後の年に国民所得の77・2%だったのが、いま75・7%に減り、いっそう格差がついています。


 この結果は、大型公共事業や企業誘致にいくらお金を注ぎ込んでも、県民全体の暮らしはよくならなかったということを示しており、これをあらため県民の暮らしを向上させる県政への転換がつよく求められています。


 ところが今年もあいかわらずの予算編成で、諫早湾干拓に30億6900万円、西彼杵高規格道路に47億円、誘致企業むけの用地造成に22億9200万円、企業誘致推進費に15億9600万円と大盤振舞であり、反省もなく続く悪政として反対いたします。
 本年度は更に交通企画費5003万円をつかって、新幹線長崎ル−トの建設を推進しています。長崎−博多間が今の1時間47分が23分早くなるだけで工事費は2700億円、1分短縮するのに110億円もかかります。これで生じる県民負担は312億円、毎年30億円つかいます。
 「新幹線よりも県民の暮らしに使え」という県民の声が高まり、昨年12月の毎日新聞、今年1月の長崎新聞、朝日新聞の各世論調査で「建設反対」または「白紙に戻して議論をすべき」という回答が、建設賛成よりはるかに多く県民過半数に達しています。これを無視して新幹線を推進する予算は、県民主役の県政とはいえず反対いたします。


これらの予算を県民の暮らしにまわしたら、すでに福島県、秋田県で実施されている小中学校全学年の30人学級や、こどもの医療費の病院窓口払いをなくして小学校卒業まで無料にする子育て支援、払えない人のために国保税をひきさげる助成、大型店の出店を規制しながら地元の商店街を活性化する手厚い支援などがすぐ実現できます。こうした真に県民の暮らしを優先する県政への転換を強く求めます。


 第78号議案の補正予算は、職員給与を4・8%引き下げるもので反対します。民間に合わせるといいますが、民間ではリストラと非正規雇用を増やして賃金水準を下げながら大企業は空前の利益を上げています。公務員がそれに合わせて引き下げれば、地域経済にマイナスの影響を与え、さらに民間給与を下げるという際限のない悪循環を引きおこします。民間も公務員も、生活できる賃金を保障して県民所得の向上をはかるべきであります。議員各位のご賛同をお願い致します。


 ※この予算案に自民・公明・民主・社民の各党は賛成。