「長崎県国民保護計画」作成の中止を

     (3月23日総務委員会 委員外質問要旨 中田晋介県議) 

[質問−中田晋介県議]
 
県が作成している長崎県国民保護計画について質問いたします。
 第一に、この計画には「核攻撃の場合の避難」とか「核攻撃による災害への対処」とか書かれていますが、被爆地長崎がふたたび核攻撃を受けると想定して作ったのですか。

 第二に、その際の知事の対応については「核攻撃の場合の知事の避難の指示は、国の対策本部長(総理大臣)の避難の指示の内容を踏まえて行うものとする」とか「核攻撃に対する災害への対処について、知事は内閣総理大臣の基本的な方針及び各省庁の活動内容にもとづいて所要の措置を講ずる」としています。これは核攻撃があった場合の具体的な対応については、国の方針として総務省がつくった「国民保護に関する基本指針」や内閣官房がつくった「武力攻撃やテロなどから身を守るために」という方針によって対応する、ということですか。

 第三に、本年1月30日、陸上自衛隊熊本市の健軍駐屯地で行われた「日米共同方面隊指揮所演習」について、各県の国民保護担当者に案内があり、本県から上川理事ほか一名が参加しています。席上で自衛隊は「国民保護のための研修」といったそうですが、そういう米軍と自衛隊の共同演習を見ながらこの計画は作られたんですか。

〔答弁−川原邦博危機管理・消防防災課長]
 第一に、国が示した基本指針で、核攻撃についても書くようになっているので、その国の想定に基づいて作成しました。

第二に、核攻撃に対する対応を県で作るのはむずかしいので、すべて基本方針で国がつくった総理大臣の措置に従うことにしたものです。

〔答弁−上川秀夫危機管理担当理事]
 第三の、自衛隊見学は国民保護に関する研修とは認識しておりません。自衛隊からの案内状も「日米共同方面隊指揮所演習をご覧いただきたい」というものでした。

[質問−中田県議]
 核攻撃の際の知事の対応は、国の方針に基づいておこなうことにした、という答弁ですが、総務省が作った「国民保護に関する基本指針」では、核攻撃の際の「避難にあたっては、風下を避け、手袋帽子、雨合羽等によって放射性降下物による外部被爆を抑制するほか、口および鼻を汚染されていないタオル等で保護すること」とし、内閣官房の「武力攻撃やテロなどから身を守るために」では「閃光や火球が発生した場合には失明の恐れがあるので見ないでください」「とっさに遮蔽物の陰に身を隠しましょう」「上着を頭からかぶり、口と鼻をハンカチで覆うなどにより、皮膚の露出をなるべく少なくしながら、爆発地点からなるべく速く離れましょう」と足早に立ち去る絵が書いてあります。
 こんな事で核攻撃から本当に身が守れると思っているのですか。まったく非現実的ではありませんか。
 長崎原爆被災者協議会や原爆遺族会など被爆者五団体は、「実際に核攻撃を受ければ、市民が死に絶える事態が起こり、こんな対処で市民を保護できるはずがない。あたかもこれで核攻撃から身を守れるかのような誤解を与える危険な計画である。被爆地長崎は、ふたたび核攻撃を想定する保護計画は絶対につくらないでいただきたい」と要求しています。
 県はこの被爆者の声に応えるべきであります。また、この計画が、米軍と自衛隊の日米共同演習を研修の場として作られたことは明らかです。自衛隊からは、各県の国民保護担当者に案内があり、席上、国民保護の参考にしてくれといって、自衛隊が見学をすすめた目的がハッキリと示されているではありませんか。この計画は、日米共同作戦の訓練そのものをみながらつくられたもので、まさにアメリカが起こす戦争に日本をまき込む戦時体制づくりの計画であります。ただちに中止するよう強く求めます。