2005年度長崎県予算案の特徴  
                        県議会議員 中田晋介

[1]五年連続の減額予算に
一般会計総額7094億8300万円。前年当初予算に比べて440億5500万円 5.8%の減。
  5年連続の減額予算。
    不況と国費削減で減り続ける一般会計予算
  01年 9545億2800万円
  02年 8006億5200万円
  03年 7844億8400万円
  04年 7535億3800万円
  05年 7094億8300万円
 
[2]「三位一体の改革」により国からの支出を削減
 昨年大幅に減らされた地方交付税が39億9千万円増え、臨時財政対策債が93億6千万円6千万円減り、あわせて54億円減。 国民健康保険制度の県への負担転嫁88億3千万円や義務教育費補助の削減117億円など、国庫支出金が205億6900万円減った。
 地方譲与税などによる国から地方への税源移譲分は167億円で、さしひき38億円の不足。
 三位一体改革による本年度の県財政への影響は、国庫支出が92億円減額となった。

[3]過去最高の借金財政に
 収入の14・3%は借金、支出の14・6%が借金払いで過去最大の借金財政に
 借金収入である県債は1011億円で、収入に占める割合は14.3%で過去最大。県債残高は05年度末で1兆490億円に達する見込みで、県当初予算の17.7か月分。県民一人当たり69万4千円、4人家族で277万6千円の借金。
 借金払いに当てる公債費は1037億8千万円で,予算に占める割合は14.6%で過去最大の借金財政。それでも足りない財源不足額142億円は、県の貯金である財政調整基金、県債管理基金、退職基金を取り崩して当てる。 年度末の基金残高は205億円しか残らない。
 公債費が一般財源に占める割合で財政悪化の状況を示す[公債費負担比率]が2003年度決算で本県は24.4になった。危険ライン とされる20をはるかに超え、全国平均の22.2をうわまわり、全国で悪いほうから12位になった。
 起債制限比率は13.2% 全国平 均の 12.5%をうわまわり全国で悪い方から16位。
 昨年9月に発表した「県中期財政見通し」では、07年度に基金がなくなり赤字団体に、09年度国の監督を受ける財政再建団 体に陥る危機的な状況になり、「収支改善対策」として職員の人減らしや賃金抑制、施設の民間委譲などが強行されている。

[4]相変わらずの大型事業優先
 公共事業費は1106億1千万円で10.3%。国直轄事業負担金94億円と合わせると1200億円で生活福祉費733億円の1.6倍。国政の「公共事業に40兆円、社会保障に20兆円」という逆だちした使い方が県でも行われている。
 主な大型開発・大企業優遇予算 相変わらずの大盤振舞。この他に新幹線建設負担金が予定されている。
諫早湾干拓事業推進費 29億8700万円
女神大橋整備費  46億円 
   (公共事業37億円 県単独事業9億円)
同橋のライトアップ費2億2千万円
西彼杵道路整備費   52億円
  (江上バイパス19億円、小迎バイパス28億円、指方バイパス5億円)
第二西海橋     16億円
街路浦上川線整備費  35億4000万円
  (公共事業31億円 県単独事業4億4000万円)
石木ダム用地買収   10億9700万円  
佐世保ニューテクノパーク造成費 2億7300万円

 県民の利益に反する予算
市町村合併支援事業費 64億6000万円
 (合併支援交付金41億1000万円、支援基金積立金23億5千万円) 
誘致企業への補助金   5億8300万円
国民保護法計画費 1155万円
県立高校改革推進費     1070万円(県立高校の再編・廃止統合など)
使用料・手数料値上げ  18件3430万円
    (県立高校授業料31年連続値上げで全日制は月額9500円に)
人件費削減 人件費は2144億円。定数削減・手当てカットなどで前年より24億8千万円 2.6%の減。
住宅供給公社再建貸付金 57億円   

[5]減り続けるくらしの予算 県民の運動が実ったものも
 暮らしの予算 予算に占める割合が生活福祉費10.3%、環境保健費 3.6%、教育費22.9%で合計36.8%と低下。  久保県政のころ50%台、高田県政で40%台を使っていたのに比べて大きく減っている。
 同時に、乳幼児医療費助成の拡大など、県民と日本共産党の共同の力が実現に貢献したことも、予算に反映されています。
・乳幼児医療費助成 10月から入院通院とも就学前までに助成対象を拡大。
 就学前までは九州で初。償還払の改善は拒否。
私学助成費 81億6000万円(前年比9500万円減)
学童保育助成費 3億1000万円(1400万円減)
中小企業向け小規模改修事業 7億円   
こども医療福祉センタ−建設費(諫早)12億5500万円
離島漁業再生支援 9億3800万円  
商店街再生支援    5100万円
若者・中高年者就職支援1億3400万円
長崎県平和発信事業  1062万円(軍縮シンポジウム等)