請願第8号「諫早湾干拓事業の見直しを求める意見書採択に関する請願書」の紹介議員中田晋介です。ご審議のうえ当委員会で、是非ご採択下さいますようお願いいたします。

 長崎県をはじめ佐賀、福岡、熊本の有明海沿岸4県の漁民106人が、漁業被害をなくすため諫早湾干拓事業の工事の差し止めの仮処分を求める訴えを佐賀地方裁判所におこしました。裁判所における審理のなかで、本県南高有明町の漁民橋本武さんは、干拓工事による漁業被害について、次のように訴えました。

「以前は、上げ潮下げ潮の早い流れを利用して、網で魚がたくさんとれました。干拓干拓工事が始まった頃から、潮の流れが弱くなり魚やカニが全くとれなくなりました。海底にヘドロがたまり、網が真っ黒に汚れるようになりました。干拓堤防からでる汚水が原因と考えて、農林水産省や県に調査を求めましたが、まともに調べてくれませんでした」とのべ、島原市の吉田訓啓さんは「干拓が始まる前は、年間の漁獲売上高が一千万円から一千二百万円ありました。干拓が始まり潮受け堤防ができるころには七百万円に減り、今では、四百万円に落ち込んでいます。以前は有明海で赤潮は知りませんでした。干拓工事が始まってから初めて赤潮を見ました。今では、雨のあと日が照るとすぐ赤潮がきます。養殖ワカメがやられて収穫は三分の一です」という痛切な訴えであります。

 これに対して、農林水産省は「これらの被害と工事の因果関係は認められない。有明海において生じた漁業不振の原因は依然としてわからない」と主張しました。原因が分からなければ、有効な対策を取ることもできず、被害を放置したまま事業を続けるというまことに不誠実な態度であります。

 裁判所は、このような国の主張をしりぞけて、漁民の訴えを認めました。仮処分決定では「干拓事業が漁業被害に寄与していることの因果関係の証明はある」とのべ、その証明として農水省が設置したノリ不作等対策調査検討委員会が示した見解をあげています。同委員会が示した「干拓事業が有明海全体の環境に影響を与えていると想定される」という見解は「各分野の学術研究者と漁業者代表によって、膨大な資料を多大な時間と労力をかけて分析検討して出されたものであり、極めて信頼に値する」としています。

 そのうえで、漁民の損害を避けるには「干拓事業全体を再検討し必要な修正を施すべきであり、その間工事を差し止める」という命令であります。

 国と県は、この道理のある決定に従って、干拓事業の見直しを行うよう求める請願であります。相次いで自殺者が出る有明海漁民の窮状を、一日も早く救済するため、本請願をぜひご採択下さいますようお願いいたします。


【参考】
 佐賀県議会では「佐賀地裁の仮処分決定を高く評価し事業の見直しを求め  る意見書」が全会一致で採択されましたので、その意見書を紹介します。

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 諫早湾干拓事業に対する佐賀地裁の差止め仮処分決定を支持し、中・長期開門 調査の早期実施を求める意見書 
              平成16年10月1日   佐賀県議会

「佐賀地方裁判所は8月26日、有明海漁民が申請していた諫早湾干拓事業差止めの仮処分を決定した。漁民の長年にわたる経験と証言、科学者の研究成果をもとに、潮流や潮汐の減少、赤潮や貧酸素水塊の頻発、それらに起因する魚類・貝類・エビ類・ノリ養殖における漁業被害など、いわゆる有明海異変が農水省の諫早湾干拓事業によって引き起こされたことを、裁判所が認定し、大規模公共事業の差止めを決定したことは、まさに画期的なことであり、本議会は同地裁の決定を高く評価する。

 同地裁決定は、工事の差止めにとどまらず、さらに踏み込んで「完成した部分も含めて事業全体を再検討し、必要に応じた修正を施すことが肝要」との判断を示しており、批判を受けながらも既成事実を積み重ねて公共事業を完遂するというこれまでの行政手法に警鐘を鳴らした。しかも、事前の環境影響評価の予測を越える範囲にまで被害が及んでいることも指摘している。

 農水省は、この異例の仮処分決定を重く受け止め「有明海ノリ不作等調査検討委員会」が提言した中・長期開門調査を早急に実施し、有明海・諫早湾の自然再生と水産業振興にむけて政策を転換するべきである。

 有明海・諫早湾のような浅海域・干潟が自然環境の保全の上で、また、水産業振興の上でも重要なことは、ラムサ−ル条約などを通して国際的にも認められている。今最優先して取り組むべきは、残されている干潟を保全し、破壊された干潟を再生するための方策を実行することである。佐賀、福岡、熊本の有明海関連三県漁連も9月6日、国に対し開門調査の実施を再度要望しており、漁民とともに有明海再生を願う本議会も、ここに中・長期開門調査の早期実施を再度強く要請するものである。以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 
 衆議院・参議院議長、総理大臣、農林水産大臣、環境大臣、水産庁長官 様

10月6日農林水産委員会
「諫早湾干拓事業の見直しを求める意見書採択に関する請願書」に対する中田県議の賛成討論

 佐賀地裁の仮処分命令にもとづいて、諫早湾干拓事業の見直しを求める請願が、干潟を守る共同センターから提出され、日本共産党の中田県議が紹介議員になって採択を求めました。自民・公明・民主・社民の各党が反対し請願を不採択にしました。