[質問・中田県議]
 長崎市民に飲料水を供給している水源地・神浦ダムの上流でおこなわれている産業廃棄物処理業者による水源汚染の中止を求める訴訟で、長崎地方裁判所が昨年9月5日現地検証をおこないました。長崎三共有機株式会社三方山事業所の 周辺3地点を掘削した結果、大量の産業廃棄物である下水汚泥、医療廃棄物、焼却灰、廃プラスチックなどが発見されて不法投 棄が確認されました。ここに、裁判所の現場検証のときの写真をもってまいりました。
 (写真1)これは大量の下水汚泥で、長崎市の下水処理場から運んできた未処理のそのままの物が大量に出てまいりりました。 (写真2)これは、薬品のビンなどで、医療廃棄物が未処理で埋められていました。
 (写真3)これは、ゴムホースがたくさん出てきました。これも産業廃棄物です。
 これらの場所の特定は、同事業所に働いていた人達の現地での証言によるもので、裁判所が重機で掘って明らかにしました。同社に下水汚泥の処理を委託してきた長崎市も、昨年11月11日立入調査による掘削をおこないまして、不法投棄の事実を確認し、 本年3月22日三共有機の島田雅行代表取締役あてに「廃棄物処理法の産業廃棄物処理基準違反があった」として、改善命令を出 しました。これにたいして三共有機は4月28日「改善計画書」を市に提出し、「下水汚泥の全量掘削」と「廃プラスチックの掘削再処理」を行うと回答しています。
 しかし、この「改善計画書」に示された掘削予定箇所は長崎市内のごく狭い地域に限定されていて、隣接する西彼杵郡の地域については改善計画の対象から外されています。元従業員の証言によれば、不法投棄はさらに広く長崎市外の西彼杵郡外海町、琴海町でも行われてきたといっております。その中には、外海町の国有林のなかに未処理の下水汚泥や不良コンポスト、すなわち肥料にしようとして失敗した廃棄物を大量に投棄した。これは長崎市の水源地・神浦ダムの上流で水源汚染の心配があります。また反対側の琴海町の牧場にお金を払って、大量の未処理の下水汚泥や製品化に失敗した不良コンポスト1300トンを埋めた という不法投棄の事実が証言されています。
 市外の地域の不法投棄の取締まりの責任は県にあります。これらの情報は県にも寄せられていると思いますから、更に今後従業 員あるいは企業や関係者から事情を聞き、市と同じように立ち入り調査を行って、長崎市の地域だけではなく、市外の西彼杵郡の地域も含めたすべての不法投棄の実態を明らかにして、撤去の対策を取らせる必要があると思いますが対応を質問します。

[答弁・徳永廃棄物・リサイクル対策課長]
 三方山の不法投棄の件でございますけれども、長崎市が所管します処分場の区域外につきましての情報でございますが、私どもの課にございます「不法投棄ホットライン」に情報提供がございましたのが、一月末のことでございます。その時点で、いま議員からご説明があった三方山の処理場以外の、とくに我々がお聞きしたのは琴海町の地域における不法投棄があるという情報をいただいております。
 その後この情報提供者をふくめて関係者の方々、土地の所有者 近隣の住民の方、企業者の方から事実についての聞き取り調査をおこなってまいりました。二月から四月にかけてこういった方 々から詳しい事情をお聞きしたところでございます。現在のところでございますが、こういった情報を確認しておりまして、今後こうした証言をもとに現場に入りまして掘削調査をやります。あわせて掘削物の分析調査などをおこないまして、不法に処理 されましたものの場所の特定、内容物の特定、量の確定などを、これから調査をしてまいりたいと考えております。そのうえで そういった不法に処理された不適切な状態の確定ができましたら、廃棄物処理法の規定にもとづきまして原因者に改善撤去を含 めた適正な指導をおこなっていきたいと考えております。

[質問・中田県議]
 ぜひ、急いでいただきたい。違反行為の場所の特定というのは、長崎市の場合にはこのようにやっとるようです。市が3月22日に業者にだした改善命令を読みますと、ひとつは立ち入り調査で掘削調査をする。つぎにその土壌を分析して何が持ってこられたかがわかる。つぎに企業の事情聴取、企業から報告を求める。
 それからこの問題については特に元従業員あるいは昨年までの事業所長が実態の証言をしておりますから、それらの事情聴取、などによって違反ということが判断されて、こういう命令になり、改善計画を出させています。
 また証拠もあります。私も見て驚いたのですが、これは企業が出している汚泥発酵肥料のPRパンフですが、これを見ると三方 山事業所の全景図がカラー写真でのっています。そこには処分場の範囲を越えた国有林の中にそういうものをうめているありさ まが写っています。この下は神浦ダムで長崎市民の水源地で、ハッキリと処分場外の国有林にそんなものを埋めているということが写真にでています。
 今度4月28日に三共有機が社長名で出した改善計画書では次のようにのべています。「恭順の意を披瀝申し添え、誠意をもっ て対応をお誓い申し上げます」とこのようにのべておりますから、県が企業に対して調査をすれば、よもやごまかすことはない と思います。こうした証拠や事情聴取、そして市がやったように立ち入りの掘削をやって、県が管轄する地域について早急に明 らかにして全量を除去させるようにしてもらいたい。企業が出した改善計画では「除去する下水汚泥については1000立方メ ートル」「廃プラスティックは400平方メートル」と非常に規模が小さい。私はそんなもんじゃない、長崎市の区域でもそん なもんじゃない、市外の地域を見れば万のけたの量がうまっとると関係者から聞いています。全量をあますところなく撤去改善 させることが必要だと思いますが、この点はどうでしょうか。

[答弁・徳永課長]
 さきほど申し上げましたように、関係者、従業員も含めましたいろんな方から事情聴取をおこなってまいりま した。その結果としてさきほど申し上げましたように、現地で掘削調査をおこない成分分析等をおこなって内容を確定させ、廃 棄物処理法にもとづきまして適正に改善撤去という方向で検討して参りたいと思っております。

[質問・中田県議]
 廃棄物対策法では、産業廃棄物については県の管理責任がつよくうたわれております。
 「廃棄物の処理および 清掃に関する法律」の第4条第2項では「都道府県は当該都道府県の区域内における産業廃棄物の状況を把握し、産業廃棄物の 適正な処理がおこなわれるように必要な措置を講ずることに努めなければならない」と、特別の県の責務がうたわれております し、第19条では「措置命令」として「不法投棄を知った時には知事は期限を切って除去を命ずることができる」と、改善命令 よりもっとつよい命令が出せますから、全面的な撤去改善をさせるように強くお願いして質問を終わります。
県議会厚生委員会質問 04年6月16日
長崎三共有機三方山事業所の産業廃棄物不法投棄問題