2003年9月県議会報告
9月議会の概要
 受注企業の献金禁止に自、公、民、社の各党が反対
 
 九月県議会(九月十一日〜十月三日)に、「公共事業受注企業の政治献金の禁止を求める請願」が、県革新懇(平和・民主主義・革新の日本をめざす長崎県の会)から提出されました。
 知事選をめぐる自民党県連の汚職をめぐって、再発防止のために不可欠として、三月、六月議会に続いて連続三度目の請願です。
 日本共産党の中田晋介議員が紹介議員になり、今議会でぜひ採決するように求めましたが自民、公明、民主、社民の各党はまともな討論もせずに反対して不採択にしました。また、「受注企業からの献金は辞退するようにつとめる」ことを議員政治倫理条例にもりこもうという提案も出ましたが、自民党が反対してつぶしてしまいました。あれほどの事件を起こしながら、まったく反省の色もないひどい有様です。
 県商工団体連合会から「消費税の改悪を凍結し、増税中止を求める請願」が出されましたが、これも自民、公明、民主、社民の各党の反対で不採択となりました。
 県厚生年金受注者協会からの「年金給付額の据え置きを求める請願」は日本共産党から自民党まで賛成して採択され、政府に意見書が提出されましたが、公明党だけは請願にも意見書にも反対しました。同じ与党の自民党さえ県民の声にこたえて賛成するのに、反対してあくまで年金改悪推進の立場に立つ公明党の反動性が目立ちました。
 また、「防衛庁の省への昇格を求める意見書」が自民、公明両党の賛成で可決されました。
 中田議員は、「談合企業に損害賠償を請求せよ」と県に要求しました。入札で談合があると落札価格が引き上げられて県は損害を被ります。損害請求として契約額の一〇%を認める判決があいついでいます。昨年、県の土木工事で二十五社二百九十一億円の談合が発覚しており二十九億円の損害賠償を請求すべきです。
談合企業への損害請求問題     トップへ
知事は談合企業に損害賠償29億円を請求せよ

 公正取引委員会は昨年6月10日、長崎県土木部発注の工事で、長年にわたって多数の企業による談合が行われてきた事実をあきらかにし、談合をやめるよう勧告を出しました。対馬の漁港防波堤工事と県北の海洋土木工事で、25社が6年間に208件の入札で談合をくりかえし、その契約額は291億円にのぼるという大規模な違法行為です。さらに公正取引委員会は今年2月20日、特に悪質な15社の121件173億9千万円の契約にたいして6億4961万円の課徴金納付命令をだしています。
 談合が行われれば、公正な競争がおこなわれず落札価格がつりあげられ、発注者は損害を受けます。全国で損害賠償の請求がおこなわれ、請求を認める裁判所の判決もあいついでいます。長崎県も談合で不当な利益を得た企業に損害賠償の請求をすべきですが、まだ請求していません。
  9月29日の県議会土木委員会で中田晋介議員がとりあげ「県は早急に損害請求をおこなえ」と要求しました。損害は早く取り返して県民のために使わなければなりません。

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 県議会での質疑から        トップへ
各県の損害請求は請負代金の10%〜20%

[質問・中田県議]
 県発注の工事契約の入札で談合がおこなわれた場合の損害賠償請求について質問いたします。
長崎県は昨年4月以降すべての契約に「談合が発覚した場合、請負代金の10%の損害賠償を請求する」という「損害賠償の予約」という項目をもり込むよう改正しました。その内容、損害賠償の請求額を請負代金の10%とした根拠、他県の状況はどうなっているか質問いたします。

[答弁・松尾土木部監理課長]
 昨年4月から、県が結ぶ契約書に損害賠償の項目を入れております。内容は契約の相手がたが、談合や贈賄などで罪が確定したときには、請負代金の10%を賠償金として請求するという条件をつけました。なお10%とした根拠につきましては、同じような損害請求訴訟を参考にいたしました。これらの判例で5%から12%となっています。また他県では「損害賠償の予約」条項を実施している30県のうち大半の27都道府県が10%という状況などを総合的に考慮して10%としております。

[質問・中田県議]
 各県の工事契約における「損害賠償の予約」は、宮城県、長野県、鳥取県の3県が20%、あと長崎県も含めて27県が10%となっているようですが、これは、談合があれば落札価格が不当に高くされて発注者としての県が損害を受ける。その損害額を10%とみて、企業に損害賠償の請求をするということですね。

[答弁・監理課長]
そのとおりであります。

損害賠償の請求は法律上の知事の責務

[質問・中田県議]
 このことについては、平成13年3月から施行された「公共工事の入札および契約の適正化の促進に関する法律」いわゆる「適正化法」と、この法律に基づく「適正化指針」でさだめられています。「適正化指針」では、「入札に関する談合については、談合の再発防止を図る観点から、知事はその不正行為の結果としてこうむった損害額の賠償の請求に努めるものとする」とされています。「賠償の予約」が契約に盛り込まれている場合は、談合が発覚すればただちに10%請求できますが、「賠償の予約」がない契約についても、談合があれば県が損害を被ったことは明らかですから、知事が損害賠償を請求することを「適正化指針」は求めています。県段階でそのような請求をした事例がこれまでにありますか。

[答弁・監理課長]
 現在、調査中で内容の詳細は把握できていませんが、事例的に申し上げますと都道府県の建設工事関係における談合事件で、発注者である県が損害賠償をおこしたのは4県と確認しております。なお現在検討中のものが3県あります。
[質問・中田県議]
 県が直接請求したのが、いまいわれたように東京、神奈川、山形、宮城と4県ありますし、代位訴訟で住民が起こした請求訴訟も数多くあります。
 では、この「適正化法」と「適正化指針」が施行された後、昨年平成14年6月10日公正取引委員会が、本県土木部発注の公共工事に関して談合行為があったとして勧告を出し、企業側がそれを応諾して審決となり、企業が談合したことを認めている件についても、損害賠償の請求をすべきだと思いますが、どのように対応されるか質問いたします。

[答弁・監理課長]
 議員ご指摘の件につきましては、たしかに「適正化法」の規定でも提起をされておりますし、他県のそういう事例もあります。現在、他県の事例も詳細な把握をおこなっております。賠償については法的な裏付けをおこない慎重な対応をしなければなりません。損害額の考え方とか請求の手法とか現在そのへんの調査を行っております。このへんの整理ができ次第、国あるいは関係部局と十分な協議をし適切な結論を出したいと思っております。

  損害は明らか 10%29億円請求せよ

[質問・中田県議]
 その適切な結論というのは請求するということなんですか。それをハッキリしてもらいたい。公正取引委員会の発表では、企業は6年にわたって談合を重ねて受注予定者を決め、その受注予定者が落札価格を決めて他社に通知し、他社が協力してその価格で受注予定者が落札して県と契約を結んでいたとされています。そのため競争が行われずに、高い価格で落札されて県が損害をこうむったことはあきらかではありませんか。

[答弁・監理課長]
ただいま損害額の確定の方法などについて今後精査をしていかなくちゃいけない。当然損害額があれば適正な対応を県はすることとなります。
[質問・中田県議]
 害は明らかです。県が損害を受けたからこそ、公正取引委員会は課徴金の納付命令を出したんじゃありませんか。公正取引委員会は本年2月20日、これらの企業15社に特に悪質な談合による契約として121件173億9千万円にたいし6億4千9百万円の課徴金納付命令を出して、企業はみな納めています。課徴金というのは独占禁止法に違反する不当な利益をうけた企業から、それを剥奪して二度と繰り返さないようにさせるというものです。そんな不当な利益を企業が得たということは、発注者の県が損害を受けたということじゃありませんか。

[答弁・監理課長]
 たしかに、課徴金の納付命令で不当な利益を得たということになりますので、それをふまえて今後内容の調査にはいります。結論的には法の趣旨に従って適正にやらなければならないということであります。

[質問・中田県議]
 これはかってない大規模な損害です。公正取引委員会の勧告で、対馬の美津島漁港の防波堤工事と県北の海洋土木工事あわせて、違反業者が25社、談合と認定された工事が208件291億円です。現在のような改正された契約なら、企業はその10%29億円をただちに払わなきゃならん。改正前の契約でも談合があきらかな291億円の10%29億円を請求すべきです。
平成12年11月15日の富山地裁判決は、富山県発注の工事契約について、「被告らの談合がなければ落札価格より少なくとも10%低い価格で落札されたと推定される」として、企業は県にたいして10%の損害賠償を支払うよう命じています。
平成11年3月28日の鳥取地裁判決は、民事訴訟法248条の適用で、企業は鳥取県に対して10%の損害賠償を支払うよう命じています。本県も10%の損害請求をすべきではありませんか。

[答弁・監理課長]
 さきほどから申し上げているとおり、県としては今調査しております。他県の事例も収集して分析をして法的な問題を含めて関係部局と協議をして、損害額がでてくれば適法な措置を取ります。ただ今の10%の件につきましてはご意見として聞いておきたいと思います。
談合が明らかになってもう一年 早急に請求を

[質問・中田県議]
 本県の談合事件も明らかになってから一年、課徴金納付命令が出てからすでに半年たっています。県として早く請求して県民が受けた損害を賠償させるべきではありませんか。

[答弁・中野土木部長]
 今回の件は契約に賠償の予約を規定した14年4月以前の契約でございます。当時損害額を10%とする裁判もあったのでございますが、適正化法が施行されて以降は、法の中にそうした条文もありますので、各自治体でも請求する事例が出てきております。そのなかには10%という考え方のほかにも、実際の損害額を落札額との差と考えて算定した事例もあります。そのへんを今くわしく調べております。それがまとまりましたら関係機関とも協議しながら適法に処理していきたいと思っております。

[質問・中田県議]

 県として早急に対応していただきたい。公正取引委員会が談合と認定した契約が291億円です。今の契約ならただちに29億円請求できるし、裁判でも損害額は10%という判決がくりかえし出ていますから、10%29億円請求するように求めます。早急に請求して県がうけた損害を賠償させるようつよく求めて質問を終わります。    トップへ
談合企業への損害賠償問題
談合問題の質疑から