03年3月11日県議会厚生委員会 

 長崎県医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の連名で出された「被用者保険三割自己負担の実施延期に関する請願書」に、この値上げに反対する立場から賛成いたします。
 賛成する理由は、医療費の自己負担増が、必要な受診を抑制し、病気を重くして国民の健康悪化をまねくからであります。1997年に健保本人の自己負担が一割から二割に引き上げられた際に厚生省の調査で患者の12%350万人が受診をやめるという受診抑制がおこっています。
 小泉首相はよく「国民健康保険が三割だから、それに合わせるのだからいいじゃないか」といいますが、三割負担の国保では、二割負担の健保より受診が抑制されて重症化する率が高いことがハッキリあらわれています。病気が重くなって高額療養費が支給される割合が、政府管掌保険の本人は年間100人中3・2件であるのに対し、市町村国保の高齢者・退職者を除いた一般分で17・7件で、国保のほうが健保の5・6倍も高くなっています。ですから、病院にかかりにくく重症化する国保の三割負担を二割に下げるというのが、国会での約束であったはずです。
 1984年、健康保険の本人にはじめて自己負担が導入された時、自民党から修正案が出され「国保の三割負担を二割負担に下げる措置をとる」と可決されました。そして健康保険法の付則第65条に「給付の公平に関する措置」として「政府は、健康保険制度の全般に関する検討を行い社会保険各法に規定する被扶養者および国民健康保険者の医療に関わる給付の割合を百分の八十とするよう必要な措置を講ずるものとする」と法律にかかげてきました。20年来、医療費負担を低い方の二割に合わせると約束してきながら、逆に、負担の重い方に併せて引き上げるのは重大な国民への約束違反であります。以上の理由で健保本人三割負担の実施を延期し、中止するよう求めて請願に賛成いたします。
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  請願は共産、民主、社民、自民の賛成、公明の反対で採択され、それにもとづく意見書が厚生委員会からだされ、公明党は「値上げをしないと、健保財政が破綻し、国民皆保険が崩壊する」と14日の本会議で討論して反対した。
 意見書は共産、民主、社民、自民の賛成多数で可決され政府に送付された。
「健保本人3割負担への値上げの実施延期を求める請願」賛成討論   
           中田晋介県議