日本共産党の中田晋介です。党を代表して知事に質問いたします。
◆県立多良見病院の民営化について 
 まず、成人病センター多良見病院の民営化について質問いたします。知事は、さる六月議会におけるわが党西村きえ子議員の「多良見病院は県立で存続を」という質問にたいし、「地域医療は民間だってできるでしょう。民間病院というのはだめなんですか」とのべたうえで「地元自治体や地元関係者の意見をきいたうえで県の基本方針をさだめたい」と約束しました。しかし今回「県立病院改革の基本方針」として「成人病センター多良見病院については民間医療機関に委譲する」という方針を打ち出しました。
 これについて質問しますが、第一に「地元自治体や地元関係者の意見をきく」と約束しましたが、地元の意見は町をあげて県立存続の立場で、10月4日には町長、町議会議長連名の「県立での存続に関する要望書」が知事と県議会議長あてに出されています。存続を求める町民の署名運動も広がって、多良見町の区長さんでつくる区長会が29人全員の連名で署名を呼びかけています。
 そのよびかけ文では「成人病センターが多良見町に設置された当時の町民の熱意は、今も強い愛着心として残り、利用者も年間延べ18000人と多良見町の全人口を上回る数に達しており、これだけ多くの人々に頼りにされている病院なのです。多良見町唯一の公共医療機関である当病院の存続は、私たち全町民の願いであります」と訴えています。こうした声を知事はどう受け止めたのでしょうか。その話し合いもつかないまま民間委譲という基本方針をうちだすのは、まるで問答無用の非民主的なやり方ではありませんか。地元との合意をはかってきめるべきではありませんか。質問いたします。
 つぎに、「民営化してどこが悪いか」と知事はいいますが、私は逆に「公立病院の果たすべき役割はどこにあると知事は思っているのか」と聞きたい。第一に県立であれば不採算部門への税金の繰入が可能で、民間では採算が取れない専門的な高度医療や行き届いた医療が可能です。第二に公立病院として信頼性が高く、地域民間病院の中核病院として、紹介による治療や入院、救急患者の受け入れ、研修受け入れなどができます。第三に県がバックアップして県立病院課の体制で、責任を持って医師・看護士を集め、施設を整備することができます。
 民間ではこういうことができなくなり、結局この分野での県の責任放棄ではありませんか。いま、結核が増えその対策が重視されるなか、県立の成人病センターの果たすべき役割はいっそう大きくなっています。県立病院として充実を図り、公共医療機関としての責任を果たすよう求めて知事の見解をおたずねいたします。

◆諌早湾干拓問題

 第二に諌早湾干拓について質問いたします。 大きな漁業被害を出した有明海異変に関して、農水省よる「有明海海域環境調査」、水産庁や大学による「海洋環境の変化が生物生産に及ぼす影響の解明調査」、その一環としての「堤防水門開門調査」などは本年度も続けられていて、結果は出ていません。また農水省が設置した「有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会」の検討結果もまだ出ていません。 それらの結果を見ずに工事を急いでは、調査によって「干潟の再生が必要」という結果が出た場合、それが不可能になります。すべての調査検討結果が明らかになるまで工事は待つべきではありませんか。質問します。

◆平和と基地問題
 第三に平和・基地問題について。
 知事は県下における米軍基地に対する対応の基本として「県民生活の安全をまもること」をあげてきました。ところが、その県民生活を非常に危険にさらす米軍の横暴な訓練が計画され強行されました。
 ひとつは在韓米陸軍所属の特殊作戦用ヘリコプター3機による福江空港での低空飛行訓練計画です。住民の安全と平穏な生活を守る観点からも到底認められませんし、日本の民間空港を使った米軍の訓練は日米地位協定にも根拠規定がない米軍の一方的なもので、二重に横暴な計画でした。さすがに、これは直前に中止されましたが、つぎの機雷爆破訓練は県の中止要請を無視して強行されました。
 これは、十一月十四日から二十日にかけて日本近海四か所で米軍が機雷の水中爆破訓練をおこなったもので、このうち一か所は五島福江島の南西海上でした。当該海域における本県漁船の操業状況は、まき網漁船128隻、かじき流し網漁船4隻、はえなわ漁船9隻などで、急きょ操業を見合わせるよう緊急連絡が取られています。知事は「当該海域で操業している本県漁船の安全が脅かされるほか、漁獲の減少など多大な影響を及ぼす」として水産庁を通じて、即刻中止するよう要請しました。しかし訓練は強行され、十五日から二〇日まで訓練海域では漁船の操業ができなかったという被害が出ています。
 とくに許せないのは、この機雷爆破訓練の場合、米軍から正式の通報もなく、水産庁からの知らせで緊急の対策が取られるという事態が生じたことです。これでは県民の安全も被害防止もはかれません。こうした一方的なやり方に県は改めて厳重に抗議するとともに、今後は余裕を持って計画を示し、地元の意向もきいて事前協議をつくすよう求めるべきですが、どうでしょうか。
 第二に、佐世保港へのアメリカ原子力潜水艦の入港・出港の情報が非公開とされています。先日、入港した原潜の事故を想定して佐世保市民の避難訓練が行われましたが、これも、その原潜がいつ入って、いつ出て行くかが市民に知らされていなくては、避難はできません。九・一一テロの後の警戒態勢ということで、情報が公開されなくなりましたが、これでは市民の安全はまもれません。早急に情報を公開するか、入出港の情報さえ示せないというのであれば原潜の入港はお断りするとキッパリとした態度を取っていただきたい。
 第三に、知事は六月の米イージス艦の長崎港入港に際して、二度にわたって米国にたいして入港をやめるよう要請し、それを無視しての入港に対して「今後ふたたびアメリカの艦船が長崎港へ入港することがないよう努力してまいります」と表明しました。
 これをどうやって一日も早く実現するかという点で、私は実際に港の非核化を実現している神戸港にいってきました。ここでは港湾管理者である市長が、艦船からの入港申請に際して「核兵器を積んでいないという証明書」の提出を求め、どの国もそれを提出して入っていますし、証明書を出したくない国は入港していません。こうして核兵器を持ち込ませない港の非核化が長年にわたって守られています。ごくあたりまえのことでべつに知事が心配される騒然となるような事態はありませんでした。これは、被爆地長崎の港でもぜひ行うべきではありませんか。どうでしょうか。

◆憲法違反の政党機関紙の規制について
 第四に憲法違反の政党機関紙規制について。 県議会議員がパーティ券販売を県職員に斡旋を依頼して有罪となった事件に関連して、県が対策としてつくろうとしている「第三者に対する職員の対応要綱」の案が発表され、県民の意見が聞かれています。
 この中の第六条で「私的行為などの制約等」として「政治資金パーティ券の斡旋禁止」という法で禁じられている当然してはならないことと一緒にして、「政党その他の政治団体の関係者から依頼をうけての機関誌または新聞等の購読は自粛する」と要綱によって事実上禁止しようとすることは憲法に違反します。 私たちも党が発行する新聞赤旗を、広く県民に普及するとともに、県庁の職員のみなさんにもお勧めして、もう何十年も多くのん方に読んでいただいています。
 それは、政党がかかげる政策や活動を国民のみなさんに知っていただき、共感を広げていく、あるいは、批判やご意見をうかがってより良いものにしていくという、政党本来の活動だからであります。職員のみなさんもそれぞれの政党がどのような政策を持ち、どのような政治活動をやっているかを比較しながら知るということは、政党政治の中で行政に携わるものとして、大事なことではないでしょうか。従来、各党ともそういう立場でそれぞれの新聞を職員にすすめてきたはずですし、もちろん、読むも読まぬも本人の自由です。
 それを、今回の不祥事を機会に、要綱で自粛を求めて一律に禁止しようというのは、憲法で保障された政党の政治活動と、県庁職員の知る権利をうばう憲法違反のやり方であり、つよく中止を求めて、知事の見解を質問いたします。
 
◆路面電車の延伸と県民の森へのバス復活を
 第五に電車の北部延伸の促進と県民の森へのバス路線の復活について。
 長崎市長から当面する重要課題のひとつとして「路面電車の北部延伸」について「増加する自動車交通を抑制し、渋滞の緩和や環境への配慮、高齢者や障害者にやさしいまちづくりをすすめるために、早期実現が必要」と要請されています。国・県・市・業者の合同調査で2000年3月にまとめられた「長崎市路面電車延伸等検討調査報告書」でも、本年3月の国土交通省・九州運輸局の「調査報告書」でも「路面電車の延伸は長崎市の望ましい交通体系を構築していくうえで重要な役割を担う」とされています。とくに滑石、横尾の大きな団地をつくったのは県であり、その交通対策として県が積極的にとりくむべき課題だとおもいますが、どうでしょうか。
 次に、一九七二年以来日曜祝日に長崎市から県民の森に運行していたバス便がこの春中止になりました。総事業費五十七億八五〇〇万円もかけて県民が森林の自然に親しみ、レクリエーション、保健、休養、野外教育の場としてつくられた県民の森に公共交通がない状態になっています。長崎市内の所帯数にたいするマイカー保有率は約6割で、多くの市民は県民の森にいけない状況です。早急にバス運行を復活するよう求めます。

◆知事選挙での違反寄付容疑について 
 最後に「その他」の項で「知事選での違反寄付容疑」問題について質問いたします。
 知事選で県工事受注企業から違法な寄付が集められた容疑で、長崎地方検察庁が、建設会社4社を家宅捜索した問題で、知事が徹底して真相を明らかにして、自らの責任を明確にし県民が納得できる再発防止策をしめすとともに、この事態のおおもとになっている受注企業からの政治献金を知事としても、党としてもいかなる形でも中止するようよう求めて質問いたします
 知事は五日の本会議で「建設業界に後援会から一般的な選挙支援のお願いはしたが、献金の要請は一切していない」と否定しましたが、こういう場合、たいていだれでも初めは否定するんです。入札妨害で逮捕された長崎市議会議長も「自分はそんなことはしていない」とずいぶん否定しました。しかし、隠せぬ真実が明らかになる兆候はあるんです。それは、この議長が議会として真相を解明するために臨時議会を開くことに強く反対したことであります。「市長が最初に臨時議会開催を提案したとき議長が反対してつぶした」と聞いたとき、私は「これは悪いことをしているな」と思いました。案の定逮捕されて容疑を認めていま辞職に追い込まれています。
 今回の場合、その事実を示しているのが、ひとつは県建設業協会の上滝会長が3日におこなった記者会見であり、ふたつは捜索をうけた建設会社や県建設業協会関係者による「県連幹事長から知事選への献金要請があった」という証言がいっせいに報道されていることであります。とくに、県建設業協会の上滝会長の記者会見での「金子後援会から依頼を受けて選挙支援資金を集めた。それは知事選応援の事務所運営費に使った」という証言は、長崎地方検察庁の事情聴取を受けた直後になされたものであり、打ち消せない真実性があります。こ
 れだけ明らかになっていることを知事はあくまでなかったといわれるのか。これが事実だったらどう責任を取るのか。もっと真剣な解明と対策を示すよう求めて質問いたします。以上主質問といたします。
2002年12月県議会
中田晋介県議の一般質問
                     −主質問−
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