諫早湾干拓調整池の洪水貯水問題  12月7日 県議会農林水産委員会での中田県議の質疑
(質問・中田県議)
 諫早湾干拓事業の調整池のいわゆる「防災機能」について質問いたします。この調整池は、平常はマイナス1メートルに保っておいて、上のほうで洪水が起きると、たとえ海の潮位が高くても洪水を受け入れて川の氾濫を防ぐ。その有効な調整容量は7200万立法米と計画されています。それで本明川の氾濫を防ぐ計画ですね。

(答弁・国弘諫早湾干拓担当参事監)
そのとおりでございます。

(中田)
 では7200万立法米を受け入れた時の調整池の水位はどのくらいになりますか。

(参事監)
計画ではたぶん3・2メートルだったと思います。

(中田)
 そうですね。調整池の面積が1710ヘクタールで、そこへ7200万立法米の水が流れ込んでくるんですから、その容量7200万立法米を面積1710ヘクタールで割れば4・2メートルですから、マイナス1米から
4・2メートル上昇すればプラス3・2メートルになります。これは有明海の大潮のときの満潮の水位2・5メートルより70センチ高い水位になって上方の洪水を受けるという計画ですね。そうすると当然、調整池の周囲の既存の堤防と樋門は、この水位に耐えられるということになっていますね。

(参事監)

 背後地の堤防につきましては4・5メートルにかさあげをするということで対応することになっております。樋門につきましては、老朽化しているということになっておりますけれども、いま淡水でございますので洪水につきましては樋門を閉めるということで対応が可能かと思いますけれども、若干直さなければならないところもあるかというふうに思っております。

(中田)
 旧堤防の4・5メートルのかさあげはいつ完成したんですか。いまでも7200万立法米の水がきても大丈夫にしてありますか。樋門も本当に大丈夫ですか。若干手直しがいるというのはどの程度ですか。

(参事監)
 堤防の4・5メートルにかさあげというのは、干拓事業のなかで計画されておりまして、すでに終わっている状態でございます。樋門につきましては老朽化しておりますので随時やっていく必要があると思います。委員のご指摘は、いま潮が入っても問題はないのか、ということを含めてのご質問だと解釈させていただいて答えさせていただきますけれども、樋門の大きな問題は、潮が入ってきますと、農業用水として使えなくなるということで、例えば、いまの常時の場合、外の水位が高くなって、多少開いていて若干つかることがあっても農作物に大被害が出ることはございません。そして洪水があがった場合には門扉というのは二重扉になっております。手前に「まねき」というバタバタする扉と、内側にはバタッと閉める「スルースゲート」というのがついております。したがいまして、洪水が起こった時には、その「スルースゲート」を閉めるという必要が起こってまいります。それが潮の場合は、この「スルースゲート」を何回も開閉するわけにはいきませんので、そういう管理上の問題が起こってまいります。大雨が降った時にはその「スルースゲート」を閉めるということで対応は可能でございます。

(中田)
 私がこのことを質問しますのは、11月17日諫早で干拓問題をめぐるシポジウムがありまして、事業推進、中止の立場でそれぞれ意見がのべられ注目されましたが、その時森山町の田中町長が出席され事業推進という立場から「水門を開けて調整池に潮をいれると、森山町の耕地に海水が流れ込んで塩害が起こる。だからやめてくれ」と水門開放反対の理由にあげられたんです。洪水の時には、有明海の大潮の時より70センチも高い3・2メートルの水位に耐えられる堤防であり樋門である、というのに、たとえ淡水でも海水でも、流入して浸水するというのでは「防災効果」といえませんよ。洪水はうけとめるが潮は入れられん、というのはつじつまが合わないんじゃありませんか。

(参事監)
 森山町長がいわれたのは、潮水が農地の中にはいってくると、いま、排水と農業用水路が兼用ですから、農業用水として使えなくなってくる。それから、堤防等については老朽化が進んでいるので、そこから、潮水が入ってくると、中の農地がまったくダメになってしまいます。あるいは、あそこのところは、地盤沈下を起こしていて、いまは淡水なので地下水に入っても問題はありませんが、潮水が入ってくると地下水のほうも影響を受けて、農業用水ばかりか上水の方にも影響をうけると森山町はおっしゃっているのでございます。

(中田)
 しかし、調整池の水が淡水であろうが海水であろうが、逆流するというのは防がにゃならんでしょう。耕地がつかったり家が浸水したりするんですから。調整池が3・2メートルになっても背後地に流入しない対策をとっとかないと防災といえんじゃありませんか。淡水ならしょうしょう入ってもいいという立場なんですか。

(参事監)
 樋門が二重になっていますので、洪水の時には「スルースゲート」を落としてとめることができます。

(中田)
 では、海水が入った時も、それを落とせばとめることができるんですね。

(参事監)
 
海水が入りますと、毎日二回の操作が必要になります。いまではそういうことはやられておりません。要するに4年前に戻れというのか、現状からみてどうするかということで、やはり、現状の状況は守らなければいけないと思います。堤防閉め切ってからもう4年も経っておりますから、もし、潮をいれるとなりますと背後地の対策を抜本的に見直さなければいけないと思います。

(中田)
 二重扉を閉めて、内水は佐賀県のようにポンプで排水する対策を取れば、海水を入れてもいいわけですね。

(参事監)
 ま、それが現実的かどうかというのはあれですけれども。ま、当初からそういう対策であれば内水の排水というのはあるかもしれませんけれども。要するに、背後地の堤防にかわって潮受け堤防をつくったわけですから、現実的にですね、そういうことで対応していますから、それを崩してしまうというのは現実的ではありません。

(中田)
 しかし、その堤防閉め切りによって有明海の漁場に大きな被害が出たという現実が明らかになっており、ノリの第三者委員会が「水門を開けての調査が必要。中期調査で干潟の再生状況を見る数年の開門調査が必要」だといっているんでしょう。だから、やらにゃいかん。やればやれるじゃありませんか。海水がきても逆流しないよう扉を閉めればいいじゃありませんか。県が責任持って操作すればできるんでしょう。

(答弁・真崎農林部長)
 第三者委員会は、開門して調査する場合の問題点として9項目あげております。これはなぜかというと、背後地対策という実情をふまえて出されているということをご理解いただきたい。いまたしかに防災対策ということで3・2メートルの洪水とめるんなら、潮水もとめたらいいじゃないかといわれますけれども、ある意味においては地域そのものもつかっている状況でございまして、その時に海水であるか淡水であるかで、大きく異なってまいります、と問題点をあげているのでございます。
(中田)
 部長、おかしなことをいうですね。洪水の3・2メートルを扉を閉めて受け止めることができるんなら、潮水入れても扉を閉めてシャットアウトすればいいじゃありませんか。老朽化した堤防や樋門は若干手を入れたいといっとるんですから、手を入れりゃいいじゃありませんか。それが「防災」でしょう。堤防の水門をあけると海水が入って背後地が大変なことになる、というのは成り立たないといっとるんですよ。そもそも、調整池の水位が3・2メートルになっても、堤防と樋門で受け止めるというのがあなたがたの計画ですから。それを今になって、老朽化しとるからとか、流れ込むからとか、いっちゃいかんでしょう。3・2メートルまで大丈夫、水は遮断するというのが計画じゃないんですか。

(農林部長)
 洪水でたしかに3・2メートルに水位が上がりますが、その時は地域もつかりますが、それが真水同志の場合と、海水の場合ではやはり問題点がある。海水がいったん入ると抜けないという問題があります。
(中田)
 
調整池の水位というのは海水か真水かはべつにして、3・2メートルになっても背後地には入ってこさせない、という計画じゃないんですか。部長は一時はつかるかもしらんが、それが真水ならいい、潮水がきたら困る、なんていいますが、そんな計画ですか。つからないように旧堤防も4・5メートルにかさあげする、樋門も逆流しないようにする。それが、あなた方の「防災対策」の約束じゃないんですか。ならば、真水がきても海水がきても3・2メートルまでは大丈夫だという対策をちゃんととって水門を開けるべきです。水門を開けると周辺農地に潮がはいって大変なことになるというような誤った宣伝はやめて、低平地の内水は、佐賀県のように排水ポンプを増強する対策をとって水門を開けるよう強く要求します。