中田晋介議員の一般質問
  2001年12月5日 本会議
日本共産党の中田晋介でございます。党を代表して知事に質問いたします。
  第一に自衛隊の佐世保からの参戦問題であります。十一月二六日自衛隊の護衛艦「さわぎり」が佐世保港を出港し、インド洋に向かいました。すでに十一月九日佐世保を出港している「きりさめ」「くらま」「はまな」の三隻と合流し、アフガニスタンに対する米軍の武力攻撃への支援をおこなうもので、合わせて九百人が乗り組んでいます。
  これは、戦後五六年ではじめて実際に戦争がおこなわれている戦場への派兵であります。自衛隊がおこなおうとしている攻撃中の艦船への燃料補給、兵員の輸送、武器の整備・修理などは、国際法上武力行使の一部とされており明白な戦闘行為であります。これが、戦争を放棄し武力行使を禁止している憲法に違反していることは明らかであります。
  攻撃開始以来米軍が投下したミサイルは三〇〇〇発をこえ、空爆は住宅地、病院、学校にまでおよび、市民の死者は千人以上、避難民はすでに数万人にのぼり難民となってています。ユニセフ・アフガニスタン事務所は「戦争で食料支援ができなければ、この冬四〇万人のこどもたちが死亡する危険が迫っている」といっています。
  六千人の死者を出したニューヨークなどへのテロは凶悪であり絶対に許せませんが、それを理由に、こうして罪もないアフガニスタン国民に大きな被害を与え、苦しめる権利はだれにもありません。一刻も早くこの戦争を中止しテロ根絶は国連が中心になって法の裁きのもとに進める正しい道にたちかえるべきであります。
  本県は一九九〇年「自由と平和の尊厳に関する長崎県宣言」をおこない被爆県としての平和の決意を世界に示しました。それには「子孫に美しく豊かな地球を引きつぐことは、今を生きる私たちに課せられた責務である。今日世界は不信と対決の時代から、対話と協調の時代へと転換しようとしている。ここに、私たちは全人類の自由と幸福ならびに世界の恒久平和をめざす」と掲げています。知事はこの宣言の立場で、佐世保からの自衛隊の憲法違反の戦争参加に反対し、戦争の中止を求める平和のこえをあげるべきではありませんか。お考えを質問いたします。

  第二に福祉・医療・介護の問題について、まず、乳幼児・障害者・母子家庭の医療費を助成する福祉医療を現物給付とし、自己負担を引き下げる改善について質問いたします。
  この点については、七月以来、県と市町村で検討会が持たれてきましたが、その結果はどうなったかおたずねいたします。
  乳幼児医療への助成を、病院の窓口払いのいらない現物給付にするよう求める請願が九月の長崎市議会で全会一致で採択され、九月十九日、市議会代表から県議会議長と福祉保健部長に要望がなされました。その要望書によりますと、「少子化対策の推進はいまや地方行政の重要な柱となっており、全国過半数の三〇都道府県では現物給付方式が導入され子供を生み育てる環境づくりが推進されている。しかしながら現在の医療機関の窓口でいったん支払い、その証明をもって申請して還付を受ける償還払い方式は、乳幼児福祉医療費助成制度の本来の趣旨が十分に生かされたものとはなっておらず、より受給者にとって利用しやすい方式である現物給付方式に変える必要がある」と県に改善を求めています。知事、少子化対策の趣旨を十分にいかすため現物給付を導入すべきではありませんか。
  本県の福祉医療の自己負担「通院・入院一日八〇〇円」というのは日本一高い自己負担であります。福祉団体、障害者団体、医療関係者から強い引き下げの要望がでていますが、来年四月からの引き下げができるかどうか、おたずねいたします。
  つぎに、十月から介護保険料が老人世帯で二倍に引き上げられたいへんな状況がうまれています。十月二九日、県社会保障推進協議会が「介護保険一一〇番」という電話相談をおこないましたが相談の七割は高くなった介護保険料についての相談でした。  長崎市の六六歳の男性からは「福江市に九四歳の母と六三歳の妹が住んでいる。母の年金月五万円でくらしているが介護保険料が払えない。市役所に何とか保険料が減額にならないか相談にいったが『事情は分かるが国の制度なのでなんともならない』といわれた。母に生活保護をとるようすすめたが『国の世話にならずになんとかやっていく』といっている。何か方法はないだろうか。こういうものがいることを国へも伝えて改善を要望してほしい」とうったえ、  佐世保市の五七歳の女性は「夫と二人暮らし、八四〇〇〇円の年金と家賃収入五万円の月十三万四千円のくらしに介護保険料が四八〇〇円天引きされて生活できない」と本当に深刻な声が上がっています。非課税の老人所帯からは介護保険料・利用料をとらない減免制度が強く求められていますが、知事のお考えを質問いたします。
  つぎに国民健康保険で滞納者から保険証をとりあげる資格証明書の発行が県下で急増しています。県の調査で六月一日に二三一件だったのが十一月一日には一八九二件と七・七倍であります。資格証明書では病気になって病院にかかるとき診療費の全額を窓口で払わなければなりません。そのお金がなければ診療を受けることができなくなる、まさに県民の命が保障されない事態が広がっています。国保税の滞納があればどうやってそれを払うか。真に払えなければどうやって必要な医療を保障するか。
 よく話し合いをしたうえでなければ資格証明書は発行すべきではありません。そうしないと、国民の健康な生活を保障した憲法の精神と国民皆保険の理念が損なわれます。県の対応を求めて質問いたします。

  第三に、諫早湾干拓事業について質問いたします。有明海の異変はつづき、今年も諫早湾のタイラギが全滅し、毎年十億円の水揚げがあったタイラギ漁が九年連続の休漁になり、加えて佐賀県海域のタイラギ漁も三年連続の休漁になる被害が広がりました。養殖ノリについても昨年より早く色落ち被害が広がっています。そうした中で十月三〇日農水省の規模縮小案が示されました。「環境への配慮」をうたい、造成農地は半分にするとはいうものの、水門は開けない、干潟は再生しないというこの案で有明海漁場の回復がはかれるのか。いま、するどく問われています。いまこそ、有明海の再生と防災を両立させる道を真剣に考え確立する責任が国にも、県にもあると考えます。
  その点で、県が今年3月策定した「長崎県水産業振興基本計画」に「漁場環境の積極的な保全」対策として「干潟の造成」ということをはじめて掲げたのは非常に重要であります。県議会農林水産委員会も視察にいきましたが、漁場保全に干潟が果たす役割について早くから研究してきた愛知県では、国土交通省の補助事業として、干潟の造成事業が進められていました。これを逆に考えれば、日本一豊かだった諫早湾の二九〇〇fの干潟を干拓でつぶしたことが、今の有明海漁場悪化の大きな原因であることは明らかであります。県が「漁場環境の保全」対策として「干潟の造成」を掲げるのであれば、まず最初に、有明海漁場回復のための諫早湾干潟の再生を考えるべきだと思いますが、知事のお考えを質問いたします。
 この点、干潟再生の観点をまったく欠いた農水省見直し案では、有明海漁場の再生ははかれないと考えますがどうでしょうか。
   昨年おこなわれた農業センサスの調査で、県下の耕作されていない遊休農地は五九八一fあり、規模縮小案で造成される七〇〇fの農地の八・五倍にのぼっています。
干拓で農地を造らなくても農地は耕作されずにあまっています。こうした遊休農地の活用をはかり、干拓による農地造成という税金のムダづかいをやめるべきですが、どうですか。
  この事業は土地改良法にもとづく事業で、同法第八条および、施行令第二条は事業が成り立つ要件として「事業のすべての効用がそのすべての費用をつぐなうこと」としています。この費用対効果は農水省の計算で、事業着工時に一・〇三、現在は一・〇一とかろうじて効果が費用を上回っていましたが、今度、造成農地が半分になることによって、当然、農水省の算式のうち作物生産効果と国土造成効果が半分になり、費用対効果は〇・八三と効果が費用より小さくなり法律の求める要件を失います。そんな法律違反を承知で国が事業をすすめることは許されませんし県も中止の立場で対応すべきと思いますが、知事のお考えをおたずねいたします。

  第四に市町村合併について質問します。
  今年6月、総務省が、全国各県が計画している通り市町村合併が進めば、現在三二〇〇の市町村が一一四〇に減り、全市町村の年間歳出総額五四兆円のうち四兆円を減らすことができる。その削減効果が最も大きいのは、職員や議員、首長の数を削減することによる人件費の削減分だという試算を発表しました。市町村合併で地方交付税が減り、予算も職員数も減る。議会も議員もなくなるなかで住民サービスは低下せざるを得ません。
  全国町村会は本年五月「市町村合併のあり方に関する意見」を発表し、地方財源について「地方分権の観点から地方が行う事務事業に見合う必要かつ十分な財源措置を講じるべきで、地方交付税については住民に法令で定められたサービスを保障するものとして適正な水準の維持確保は不可欠である」とし、  十一月二八日の全国町村長大会では「市町村合併の強制を意図した地方交付税算定の見直しは絶対におこなわないこと」と緊急決議がなされています。県はこうした市町村と力を合わせて、政府の地方交付税の削減をねらう市町村合併の押しつけに反対すべきですがどうですか。
  「合併で市役所、役場が遠くなり不便になる」という県民の強い心配について、県は「支所を置くから大丈夫だ」と宣伝していますが、支所では簡単な手続きはできても少し大事な手続きは本庁まで行かなければできません。なによりも支所には予算を使う権限が全くなく、住民要求の陳情はどんな簡単なものでも本庁まで行かなければできません。
  しかもその支所が地方行革の対象で統合縮小が進められています。長崎市では行政改革大綱に「支所機能の見直しおよび地区事務所の廃止」が掲げられ、市内十一か所ある支所の職員数は一九九二年の九三人が、いま六五人と三〇%も減らされ、今後更に減らしていく計画であります。これでは、支所で行政サービスを強めるといっても保障はできません。
  また、議会がなくなり議員が大幅に減ることについて「旧市町村ごとに地域審議会を置いて対応する」としていますが、地域審議会は市町村長に意見が言えるだけで、議案審査の権限も行政チェックの機能もなくとうてい議会に変わる役割は果たせません。  こうしたデメリットをふせたままの県の合併推進を中止するよう求めて、知事の見解をおたずねいたします。

  第五に雇用対策として、わが党は「法律違反のサービス残業の根絶で雇用の拡大を。これをなくせば全国で90万人の雇用が生まれる」と提案しています。六月県議会で西村議員から、四月に出された厚生労働省ならびに総務省の通達を、まず県から実行して県庁からサービス残業をなくし、県下の民間企業に広げようと提案し取組みを求めました。ところがその後、県職員組合がおこなった調査が十一月五日付けの機関紙に発表されましたが、依然として「サービス残業がある」と答えた人が五一%と過半数にのぼっています。これでは、国と一緒に県が県下のサービス残業をなくす取組みを進めることはできません。どういう具体的な根絶策をとっているか質問いたします。

【再質問】
  佐世保からの自衛隊参戦問題について再質問いたします。
  知事は、10月8日米国の武力攻撃が始まった日に発表したコメントで、「罪もない多数の人々が犠牲になるようなテロリズムは決して許されるものではなく、国際社会の安全を確保するうえで、毅然とした対応を示すことも必要であると考えますが、武力行使により、多くの人命が犠牲になる事態はできる限り避けるべきであると考えており、今回の問題が国際社会の中で一刻も早く解決に向かうことを強く願っております」とのべました。しかし、そうならないのが戦争であります。
  罪もない多くのアフガニスタンの国民が死者を出し、逃げ惑っている被害はご承知のとおりでありますし、戦後はじめて戦場へ派遣される自衛隊員も命がけであります。これは実際の話ですが、今回佐世保から派遣された自衛隊員が、奥さんと二人の子どもさんを連れて大村の奥さんの実家に挨拶にいった。そしてその隊員は、「もし自分がかえってこれない時には再婚してくれ」と言い置いていったというのであります。このような戦争に対して、テロにも戦争にも反対する声が高くなっています。
 11月17日のテレビ朝日の久米宏さんのニュースステーションの世論調査では自衛隊のインド洋派遣に支持しないが53%、支持するの38%を大きくうわまわっています。朝日新聞の調査でも派遣反対が48%で、賛成44%をうわまわっています。
  テロ犯罪者を、戦争でなく国連が中心になって国際法にもとづいて処罰している実例としては、1988年スコットランド上空でおこったパンアメリカン機爆破事件があります。この時乗客乗員270名が死亡しましたが、アメリカとイギリス当局は犯人をリビアの国家情報機関員と特定して、リビアに対する犯人引き渡しの国連決議がくりかえされ経済制裁がおこなわれる中で、リビアは犯人を引き渡し、第三国のオランダで裁判が行われ、今年一月犯人に終身刑の判決がで、控訴されたため裁判続行中であります。  こうした道こそテロの実態を明らかにし、国際的にテロを根絶してゆく有
効な道であります。知事が本当に人命の犠牲を避けるべきだと考え、県平和宣言の恒久平和をめざすのであれば、いまこそ「戦争やめよ」という声をあげるべきではありませんか。再度質問いたします。

  次に、乳幼児・障害者・母子家庭などへの医療費助成について再質問いたします。  長崎市議会の要請は、現在県がおこなっている償還払いの助成方式では、乳幼児福祉医療費助成制度の本来の趣旨が生かされたものとなっていない。受給者にとって、より利用しやすい方式である現物給付方式に変える必要がある」といっています。知事はそう思われませんか。過半数の30都道府県で現物給付が実施されています。知事がその方が県民に取って利用しやすく本来の趣旨が生かされると考えるなら、その方向で市町村に提案し、議論をリードするべきではありませんか。
  同じく、福祉医療の自己負担についても、日本一高い県民負担をそのまま知事の任期を終わるつもりでしょうか。任期中に引き上げたものを、改善するつもりがあるのなら任期中に改善すべきではありませんか。昨年末、これをあげる時には、まず県がげるように補助要綱を変えて、それにしたがって市町村が条例改正をしてあげたんですから、今度は、下げる時にも県から改めるリードを取るべきではありませんか。
  介護保険については、全国310の市町村が独自の減免制度をつくって、払うにも払えないお年寄りを救済しております。全国市町村の一割であります。長崎県は残念ながら、長崎市、三和町、佐々町の一市二町だけで、大変遅れています。現在いくつかの広域圏組合で減免が必要だと検討が始まっています。県が一緒になって推進されるよう強く求めておきます。
  国保の資格証明問題は、国会でも10月25日参議院厚生労働委員会で、日本共産党の質問に、厚生労働省は「よくよく事前に十分な納付相談などもおこないまして適用するというのが妥当だろう」と答えています。どうやってはらうか。払えなければどうやって必要な医療を保障するか、よく話し合い十分な手当てを前提とするよう、市町村につよく要請するよう求めておきます。
 最後に、金子県政一期目をふりかえって一言申し上げます。
  知事は就任ごすぐ佐世保米軍基地強化のために県有地7900平方米を提供し、その後も被爆地長崎港への米艦船入港や西海町へのLCAC基地建設を容認して、被爆県長崎の平和の願いに背を向けてきました。
  諫早湾干拓は、有明海の漁場環境悪化の原因としてこれだけ明らかになっているのに、あえて無視して「事業の計画通りの推進」を掲げ、市町村合併では政府の方針どおり全国にさきがけて推進しています。
  大型開発、大企業優遇では諫早湾干拓に今年も31億円、ソニーの諫早工場建設補助に15億円、長崎市大波止の夢彩都に無利子融資25億円、長崎サンセットマリーナに貸付と施設買収支援で9億7500万円と注ぎ込みながら、県民の暮らしの面では、今年4月から乳幼児、障害者への福祉医療の自己負担を日本一高くし、お年寄りへの敬老祝い金は、今年四月の改悪でもらえる人はわずか7400人予算で5800万円に減り、一番多かった時期の6万1千人2億5千万円から実に「人数で8分の1、予算で4分の1」に削減してしまいました。
  このため、県民の暮らしを直接ささえる生活福祉費、環境保健費、教育費の合計が予算の中で占める割合は、一番多かった久保県政の1975年当時の53%から、高田県政一期目の43%、そして金子県政一期目の今33%とちょうど10%づつ落ち込み、暮らしに最も冷たい予算になっています。
  平和の面でも、環境、暮らしの面でも、県民の利益を守れない県政となっており早急な転換が求められています。来年の知事選では真に県民が主人公の県政実現のため全力を挙げる決意を表明して、私の質問を終わります。