介護保険問題
 第一に介護保険制度の改善について知事に質問いたします。
 本県議会は、介護保険制度の実施にあたって、その円滑な実施を求めて二度にわたって意見書を政府に提出しています。昨年十月六日に提出した意見書の第一項目には「保険料や利用者負担については、低所得者が必要なサービスを受けられるよう、十分な財政措置を講じること」と求めました。
 本年六月議会でも、わが党の西村議員が問題点をあげて改善を求める質問をいたしました。それに対して知事は「実は私も同じような心配をして、本当に問題はないのかと聞いたが、市町村の意見や実態調査がされていない。いそいで実態調査をしたうえで国に対してお話をする、中央に強力に働きかけをしたい」と約束されました。さっそく介護保険課は県内40の保険者つまり介護保険を実施している市町村および広域連合に、住民から寄せられた意見、市町村が感じている問題点をきく「介護保険実態調査」をおこないました。 保険料に関して一番多かった回答は「低所得・無収入者への免除措置等、個々の家庭の経済状況を考慮した保険料にして欲しい」という回答で40保険者中28保険者で70%が求めています。
 次に利用者負担の問題で一番多かったのは「介護保険制度により負担が増えた」という答えで、その次が「従来、無料で受けていたサービスが利用者負担のため受けられなくなる不安」という声が73%にのぼっています。 さらに県社会保障推進協議会がおこなった「介護一一〇番」にはさらに具体的で切実な声が寄せられています。これは、県保険医協会や民主医療機関連合会の皆さんが、一〇月二五、二六の両日、ちょうどお年寄りの保険料徴収が始まった時期に電話で相談を受け付けたものですが、二日間で五四件、そのうち四一件は保険料にかんする相談でした。
 「八〇歳の男性、妻と二人暮らし。一か月の年金収入が七万七千円、アパートの家賃が三万五千円、水道光熱費が一万円、のこり三万二千円で暮らしているが、今年二月脳梗塞で倒れて入院し、いまリハビリに通院中、妻も通院中でできれば週二回ディケアを受けたいが払う余裕がない」「親の保険料の通知がきてびっくりしている。年金は少ないのにこんなに取られるのか。減額してもらわないと生活できない。減額の制度はないのか」という娘さんの声。
「月三万四千円の年金だけが収入源で、切り詰めて生活している。介護保険料といわれても出せない。政府は、もう死ねというのか」という長崎市一人暮らしの七〇歳の女性など このように苦しんでいる本当に払えない人々への保険料・利用料の減免こそ、いま何よりも急がなければならないと思いますが、知事のお考えはどうでしょうか。
 次に、介護保険制度が発足したのに、施設利用を申し込んでも入れない状況があります。長崎市内の特別養護老人ホームにそれぞれ問い合わせて、調べた待機者の数が約四百人にのぼりました。年間のあき具合から推定すると、いま待っている人が全員入るには三年かかることになります。特別養護老人ホームやディケアセンターなど介護施設の現状と充足の見通しについて、質問致します。

市町村国保に県の助成を
 第二に、市町村国保にたいする県の助成について質問いたします。
 この点につきましては、県の来年度の予算編成に向けて、今年も県下の市長会、市議会議長会などから県に要望がなされました。
 とくに市議会議長会は総会で決定した「地方自治体が当面している緊急課題」として、今年はこの問題一つにしぼって「国民健康保険事業に対する県費助成について」という要望書を、十月十六日知事に提出しました。要望書は「国民健康保険事業は、制度上必然的に低所得者や高齢者の加入割合が高いことに加え、長期化する景気低迷により、厳しい財政運営を余儀なくされている。また、介護保険制度が平成十二年度から開始されたことに伴い、四〇歳から六四歳までの第二号被保険者の介護保険料は、国民健康保険税に上乗せして徴収されるため、徴収率の低下が懸念される。このような中、国民健康保険事業の健全運営に資することを目的として、現在三四都道府県においては、保険者に対して何らかの県費単独補助が行われており、長崎県におかれても国民健康保険事業に対して県費助成を講じられるよう強く要望する」と求めています。市長会の要望も同じであります。この声に答えて、この際ぜひ県の助成を実現されるよう知事に求めますがどうでしょうか。

大型店の出店に規制を
 第三に大型店対策について質問致します。大型店出店による地元商店街への影響を県が調査した結果が発表されました。県としては初めての調査ですが、対象となった長崎市、大村市、福江市のいずれの商店街も非常に大きな被害を受けている実態が明らかになりました。なかでも私が重大だと思ったのは、県が誘致した「夢彩都」による被害であります。 「夢彩都」開店後二か月の調査で、浜の町商店街など中心地区では、客数が減ったと答えた商店が七一・八%、売り上げが減ったという商店が六五・一%で三分の二に達しています。売り上げが三〇%以上減ったという商店が一三%もありますし、二〇%以上は三六・八%であります。二〇%も売り上げが減っては人件費もでなくなる、そういう店が三軒に一軒にのぼったというのは大変な状況であります。
 こうした被害を見越して中心地区の商店街の皆さんはこの出店に反対してきました。
 ここに一九九八年四月二十四日、浜市観光通り、中通り、思案橋、新大工町、築町、銅座、西浜通り、江戸町の八つの商店街振興組合が連名で知事に出した反対の申し入れ書があります。それには「我々地元の組合はイズミの出店は死活問題であるため、一貫して反対しています。また、この店舗を建築するにあたって、県は、無利息のふるさと融資二十億円を融資すると聞いておりますが、このような融資は、地元の小売店に壊滅的な打撃を与える反面、県外の大企業に不当な利益を与えるものであって、ふるさと融資の趣旨に反し、貴重な県民の税金が不当に使用されることになると考えます」とのべています。
 ある商店街の会長さんは「不況で消費購買力が落ち込んでいる時に、こんな大型店を誘致すれば被害が出るのは目に見えている。我々が被害を受けたら県はどう責任を取るのでしょうか」といっています。知事のお考えはどうでしょうか。被害を受けた商店街の振興に全力をあげるとともに、今後被害が予測される出店は規制するよう求めて質問致します。

市町村合併の押しつけやめよ
 第四に市町村合併について質問いたします知事は、重点施策として市町村合併を強力に進めようとしていますが、その際、合併がもたらすマイナス面についてはほとんどいわれません。私は、そのマイナス面すなわち合併が県民生活にもたらす被害の面こそ重要であると思います。
 まず、だれでも考えることは、合併で自治体の範囲が広くなれば役場が遠くなり不便になる。そして中心部と周辺部の格差は避けられないということであります。
 県の合併要綱では「支所で対応する」とされていますが、合併で職員数がへるなかで、何でも対応できる支所などつくれるはずがありません。結局、対馬が一つ、島原半島が一つなどとなれば、すこし大事な手続きは半日がかり、一日がかりで本所までいかなければならなくなり、大変になります。
 さらに重大なことは、合併すれば地方交付税が減り、予算規模も職員数も減ります。この点、合併要綱ではそれを示すグラフが一枚あるだけで本文では全く書かれていませんし、どの位減るかという肝心の点に県の回答がありません。そこで私は、人口がほぼ同じくらいの自治体と比べてみました。対馬六町の人口が四万三千人、島原市が四万一千人でほぼ同じですが、地方交付税は一九九八年度、対馬六町で一六四億円あるのにたいし島原市は四四億円、二七%で歳出決算額は四五%しかありません。職員数も半分です。これで十二倍の広さを受け持てば住民サービスの低下は避けられません。上五島五町の場合人口が二万八千五百人で、人口二万八千三百人の福江市と同じですが、福江市一つでは、地方交付税が五町の五六%しかなく、歳出決算額は六五%、職員数は五六%と半分です。税収の違いなどがありこの通りにはなりませんが、合併して一つになるとおおよその傾向としてこうなることは避けられません。また、議会も議員の数も減り、住民の声が届きにくくなり、行政をチェックする力も低下します。
 市町村合併については、こうした問題点をあきらかにして見直すべきですが、知事のお考えを質問いたします。  

諌早湾干拓−漁業被害の調査と補償を
 第五に諫早湾干拓について質問いたします。 諫早湾干拓事業と周辺で起こっている漁業被害の関係を解明する問題について、本年六月議会の県政一般質問で農林部長は「漁業被害につきましては、さまざまな要因が複合的に作用していると考えられますので、干拓事業と周辺海域の関係については簡単には論じられないと思います」と答弁しました。こうしていつも干拓と漁業被害の関係はあるともないともわからない、といって先送りにしてきましたが、まったくの責任逃れではありませんか。
 本年八月三十日小長井町漁業協同組合が知事に出した要望書では「干拓着工以来、諫早湾海域の漁場環境は大きく変貌し、環境影響評価の予測を越えた状況となっております」として平成三年からのタイラギ貝異常へい死による七年連続休漁、魚介類の激減、平成十年七月と本年八月の赤潮による天然魚の大量へい死、昨年九月と今年九月アサリ貝の大量へい死などをあげ「潮受け堤防完成後、従来とは異なる赤潮の長期化、広域化により魚介類にあたえる影響は著しく」「現在は事業着工以前の一割にも満たない水揚げ高となっており魚家存亡の危機に直面しております」とのべています。海で生計を立てる漁民自身が干拓着工以来の漁場の変化と被害をあげています。お配りした資料をご覧いただけば、タイラギの漁獲生産量が干拓着工以来激減し、赤潮の発生が潮受け堤防締切り以降急増しており、干拓事業が原因であることは明瞭であります。
 知事に、干拓と漁業被害の関係を解明する第三者機関による総合的な調査を行い、対策と補償を行うよう求めて質問致します。

核密約にどう対処するのか
 最後に米軍による日本への核兵器持ち込みを容認する日米間の秘密の取り決め、すなわち「核密約」について質問します。
 これについては、日本共産党の不破委員長が党首討論で取り上げ、アメリカ政府が情報公開した「一九六〇年一月六日の藤山外相とマッカーサー駐日アメリカ大使の討論記録」という文書を密約そのものとして示しました。この協定は米軍艦船や航空機に積載しての核兵器の日本への持ち込みは、事前協議の対象とせずそれまでの慣行通りとする、すなわち自由に持ち込める、と決めています。
 今年三月六日の西日本新聞は、一九六三年三月二六日ケネディ大統領が開いた「核武装艦船の日本寄港に関する大統領会議」のメモを報道しました。この会議ではグリフィン海軍大将が「五〇年代初頭から、日本に寄港してきたアメリカの航空母艦は通常、核兵器を積んでいた」という発言をしています。
 また、八月三〇日の朝日新聞は、一九六〇年三月の「国務省北東アジア部の議会用説明資料」を報道し、このなかに「日米安保条約に関連して結ばれた非公開合意の要約」として米艦船による日本への核持ち込みは事前協議の対象外とすることが記載されています。これまで日本政府がいってきた「核持込みは事前協議の対象であり、アメリカから一度も事前協議の申し入れがないから、核持込みはない」という国民への説明が全くのごまかしであったことになります。佐世保港には六〇年以降、米空母が百回原潜が百五十回以上入港しています。それに核兵器が積まれていたということは被爆県民として、絶対に容認出来ません。
 これらの資料はアメリカ政府が責任をもって公開したもので、資料の一部は知事にも届けましたが、ご覧になってどうお考えになり対処されたか質問いたします。
12月8日に行った中田晋介議員の一般質問は以下の通りです。