長崎市大型店進出対策について
                    2000年9月28日長崎県議会経済労働委員会 
          質問・中田晋介県議  答弁・猪股寛治商工金融課長、小島 明観光課長

[質問 中田県議]大型店出店への対応について質問いたします。部長の説明に「大型店出店の進出にともなう中心商店街への影響調査を七月に実施した」とあり、「10月までには、その結果をとりまとめ今後に活かしたい」とのべられていますが、夢彩都のオープンは4月で、結果が出るのが少し遅いじゃないか。六月議会では7月1日を基準日に調査を行ない、結果は8月から9月には取りまとめる予定ということでしたが、それがなぜ九月議会に報告されないのか。コンピュウタもある今時まとめようと思えばすぐできるんじゃありませんか。何で遅れているのか、どういう内容の調査をされたのか、うかがいます。

[答弁 猪股商工金融課長]たしかに前の議会では、8月から9月でまとめたいとお答えしておりましたが、調査を長崎市、大村市、福江市の三地区でやって見ましたところ、大村、福江の方が、まだまとまっていない状況でございます。全体のまとまりは10月の中旬ぐらいになるのではないか、と予想しております。調査の内容としましては、県と三市の商工会議所でやっておりますが、一つは商店街そのものにたいするアンケート調査、個別の店舗にたいするアンケート調査、それから消費者にたいする調査を、それぞれ三地域でやっております。

[質問 中田県議]この調査とその結果に基づく対策は、三月、六月の当委員会でも重ねて要求してきましたが、まだまとまっていないというのであればやむを得ませんが、ぜひ、急いで調査結果をまとめて、それにもとづく対策をとっていただくよう強く求めておきます。
 私は、夢彩都がオープンして半年、今度は駅ビル・アミュプラザがオープンして、どんな影響があるか、長崎市浜の町関係の商店街振興組合の会長さんや役員さん、お店の方に実情を聞いてまわりました。いずれも、非常にきついという声ばかりです。
「夢彩都がオープンしたあと、土曜、日曜にはぱったり人通りが減って、どうなることかと心配していたが、その後だんだんにお客さんが戻ってきてくれて、すこし安心している。しかし、お店の中には夢彩都と業種が競合するようなお店は影響が大きい。なかでも飲食関係はとてもきつい。うちの隣も代々続いたお店だったけれども。最近閉めて代替わりしてしまった」、「浜の町と大波止と駅ビルというのは位置関係が悪い。すこし離れているためお客さんが歩いてまわるというふうにはならず、新しい店に流れただけ、こちらのお客さんが減ります。はじめの話では、これらを回遊するようなシステムをつくるということでしたが、いつのまにか立ち消えになってしまって、なんの対策もない」、「夢彩都は、もともとアーバン開発の土地を売るために県が誘致したものです。全体として消費購買力が落ち込んでいる時に、こんな大型店を呼び込んでみんながうまくいくはずがない。観光客も減っているというのに、地元の店が被害を受けることは目に見えている。こんな大型店を誘致したり、許可したりした県の見通しが間違っていたせいで、我々が被害を受けたら県はどう責任をとるのでしょうか」…と、不況に加えて大型店進出による二重の被害で、本当に深刻な声が寄せられました。
 この商工労働部長説明では「既存の商店街が、消費者にとって魅力のある商店街形成に努力すべきです」とのべられています。もちろん、その努力も大切ですが、それよりも、大手資本が大きな資金をかけて新しい仕掛けの大型店をつくって進出すれば、地元の中小商店ではかないようがありません。そんな既存の商店街の営業をおびやかすのを防止する行政の努力の方が大切です。
 事前にその出店がどんな影響を及ぼすか科学的に予測をして、地元の商店街に被害を及ぼすようであれば、出店を思いとどまらせる、ましてや、助成をして誘致をするなどということはしない、という県の見通しが必要ではなかったか、と思います。
 消費不況で購買力が落ち込んでいる時に、こんな大型店を呼んで、地元商店街と共存できるというどんな根拠ある見通しを県はお持ちでしたか。こんな大型店を誘致し、許可してわれわれが被害を受けたら県はどう責任を取ってくれるのか、という皆さんの声に県はどんな対応をされますか。

[答弁 猪股商工金融課長]長崎市が、平成11年6月に中心市街地活性化法にもとづきまして「長崎市中心市街地活性化基本計画」をたてておりますが、このなかで、市としては、三地域つまり浜の町など既存の商店街と、夢彩都などアーバン地区の新しい商店街、駅ビル・アミュプラザなどの商店街の三地域を相互の連携をもたせて、相乗効果をあげていきたいという基本計画になっています。県といたしましても、それを支援して参ります。もともと夢彩都につきましては、浜の町の商店街としても当初は賛成の意向を示されておったということでございます。

[質問 中田県議]浜の町商店街は賛成されましたけれども、観光通り商店街をはじめ銅座、中通り、新大工、駅前の商店街はみんな反対しましたよ。しかも、その市の基本計画でいう、三地域が連携して相乗効果があがるような対策を、県・市はなにかとられましたか。はじめは道をつくるとか、バスをまわすとかいっていたけど、結局なんにもやっていないじゃないですか。連携どころか強いもの勝ちの自由競争で、ふたつの大型店で200億円もの売り上げを上げようとすれば、地元にしわよせがくるのはわかりきっているじゃありませんか。調査の結果、浜の町や駅前など既存の商店街に被害が出ていることが明かになったら、助成をして誘致した県はどんな責任をとりますか。見通しを誤ってすみませんでしたではすまんと思いますが。

[答弁 猪股商工金融課長]三地域の回遊性につきましては、ただいまコミュニティバス「らんらん」というバスが走っています。まだ本来の効果が充分でていないかと思いますが、今後名前が知られていけばどんどん利用していただけると思います。
[答弁 小島観光課長]この冬にむけて、浜の町と大波止をむすぶ道路を整備して、照明をほどこし歩いて楽しむ道として十二月から始めてまいります。

[質問 中田県議]そういったことで既存商店街の被害をくいとめることができるでしょうか。長崎商工会議所の予測調査では、ふたつの大型店の進出による既存商店街の売り上げ減は、浜の町で14%、近くでは17%ということですから大変です。今後、実際の影響調査の結果が明らかになり次第、さらに取り上げたいと思いますが、地元の商店街の皆さんは、いま紹介したような気持ちでご苦労をされていますから、誘致した県として充分責任を感じて、全力をあげてあらゆる可能な対策をとっていただきたいし、今後こうした大型店の進出は規制する方向で取り組むよう求めます。

この問題については自民党県議も「福江市では、ふたつの大型店の進出で、商店街の売り上げが落ち込み数百人が職を失った。大型店の出店は野放しでなく県の条例で規制せよ。たとえば人口を基準にしてそれ以上の大型店は開店させないという規制条例をつくれ」と要求しました。