新署名は被爆者の生きる希望
 2月15日の原水協の核廃絶新署名発表集会で、会場から被爆者の大塚一敏さんが発言して、感動を呼びました。その発言を紹介します。
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 被爆者の大塚一敏と申します。
  今日は、年賀状を1通もって参加しました。「老々介護に悪戦苦闘中ですが、頑張ります」との添え書きがありました。

 元日に届いたのですが、そのときには病の床にあった奥さんは容態が急変し亡くなっていたのです。

 病名は「造血機能障害異型性骨髄炎」でした。学徒動員先の三菱兵器茂里町工場で被爆し、命はとりとりとめたものの、生涯、被爆の後遺症に苦しめられながら、「わたしの眼に光があるうちに」と被爆体験を語り続け、核兵器廃絶を訴え続けてきた人です。

 わたし自身もその一人ですが、被爆者は病気と高齢化がすすみ、昨年のNPT再検討会議に期待を寄せながらも志なかばにして、世を去る人が増えているのが実際です。

 被爆者が語り続けるのは、過去の回想として思い出しているのでなく忘れられないからです。被爆の実相、核兵器が人道に反する兵器であること。広島・長崎を繰り返させない唯一の確実な手段は核兵器を廃絶する以外にないことを、次の世代、若い世代に継承したい、世界にも、もう少し知らせたいという一心からです。

 今日提起された「新しい署名」は時宜にかなったもので、被爆者にとっては生きる希望です。また高校生のみなさんの「微力だが無力ではない」、という青空を突き抜けるような気概にささえられた自主的な活動は、被爆者の希望の星であります。そうした人びとと手をつないで、提起された「アピールと署名」を実のあるものにしたいと思っています。

 そして、亡くなった人から送られた年賀状に応えたいと考えています。みなさん、ご一緒に全力をつくしましょう。