NPT要請団としてニューヨークに
長崎・大浦診療所職員 
    
川口幸江(ゆきえ)さん24歳
 核兵器廃絶の願いは一つ
                        「しんぶん赤旗」2005/5/21


 核拡散防止条約(NPT)再検討会議に被爆地の声を伝える長崎の代表として、「私に何ができるかー」。不安でした。
でもニューヨークに行ってからはあっという間でした。
 五月一日のパレードと反核集会は本当にたくさんの人たちが集まり、想像していた以上に大々的で印象深いものでした。パレードに途中から加わる市民の方がいたり、さまざまな格好で、それぞれの思いを描いたプラカードや旗を掲げて訴える姿を見て、「国は違っても、核兵器廃絶を願う気持ちはいっしょなんだな」と実感しました。
 「いっしょに写真いいですか|」。私は軍服を着た老人に、かたことの英語で声をかけました。快く応じてくれたその人は、私が「長崎から来た」というと、感慨深げに「I,m SORRY(ごめんね)」と涙ぐんで話してくれました。英語だったので全部はわからなかったのですが、被爆者のことを知っていたのでしょう。
 その老人は硫黄島で戦争に参加していたそうです。「心配しないで、殺さないから」と日本語で何回も言っておられたので、戦場で日本人にそう訴えたのだと思います。戦争での思いが、いまこうして核兵器廃絶への思いにつながっているんだと感じ、ただ純粋にうれしかったです。本当にいい体験でした。
 私は原爆を知らない世代。被爆者の意思を引継いでいくため、もっと多くの被爆者の体験を知らなければと思います。