核兵器廃絶へ新署名推進

巨大なうねりつくろう

原水爆禁止世界大会終わる


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核兵器のない世界への決意を宣言した原水爆禁止2003年世界大会・長崎の閉会総会=9日、長崎市民会館体育館

 原水爆禁止二〇〇三年世界大会は九日、長崎市での閉会総会で幕を閉じました。被爆六十周年の〇五年に向け、「いま、核兵器の廃絶を」との新しい署名を推進して核兵器廃絶への巨大なうねりをつくりあげることを満場の歓声と拍手で確認。参加者七千三百人の約六割を占めた若者のパワーが会場を圧倒しました。

 世界大会運営委員会の高草木博氏(日本原水協事務局長)が行動を提起。新しい署名について、核保有国に直ちに核兵器廃絶の実行を迫り、すべての国が核兵器廃絶国際協定の実現のために行動することを求めていく明確な目標をもっているものだと説明。多くの海外代表とともに長崎市の伊藤一長市長も署名にサインし、「イラク戦争に反対するたたかいを上回る規模で核兵器廃絶運動を盛り上げてほしい」と語ったことを紹介し、「人類が核兵器と戦争から解放される新しい政治、流れをつくろう」と訴えました。

 日本山妙法寺僧侶の木津博充、長崎県被災協理事の内田保信、原爆症認定集団訴訟弁護団の秋元理匡の各氏があいさつし海外の核被害者や平和運動家が発言。青年のステージで若者が平和をアピールしました。

 イラク人医師二人が登壇し、アル・アリ氏(バスラ大学助教授)があいさつ。米軍の劣化ウラン弾でがん患者や異常出産が増えている、と告発しました。

 長崎決議「長崎からのよびかけ―いま、核兵器の廃絶を」を採択しました。


米国の核戦略を批判 伊藤市長、イラク戦争も告発

長崎平和式典


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平和宣言をのべる伊藤一長市長=9日午前、長崎市平和公園

 長崎市主催の平和式典が九日、同市・平和公園で行われました。原爆投下の午前十一時二分、第二会場を合わせ六千二百五十人の参列者が、平和と核兵器廃絶の思いを新たにしました。

 伊藤一長市長は「平和宣言」の中で、米英はイラクの大量破壊兵器保有を理由に国連の決議を得ることなく戦争を強行したと告発(3面に全文)。「小型核兵器などの開発や核爆発実験の再開を示唆し、場合によっては核兵器の使用も辞さない姿勢」だと米国の核戦略を厳しく批判しました。

 日本政府に対し、被爆国の政府として核兵器廃絶の先頭に立ち、「専守防衛」の理念を守り、非核三原則を法制化するよう要求。朝鮮半島非核化共同宣言の実現と日朝平壌宣言の精神にもとづく北東アジア非核兵器地帯創設の着手を求めました。

 若い世代に向けて「広島・長崎で何があったのかを学んでください。今世界で起こっていることに目を向け、平和を実現するためにできることを考え、互いに手をとり合って行動しましょう」とよびかけました。

 小泉純一郎首相は「核兵器の廃絶に全力で取り組んでいく」としながら、具体策を示しませんでした。

 式典ではこの一年間に亡くなったり、新たに死亡が確認された二千六百九十二人の名簿を納め、原爆死没者数は累計で十三万千八百八十五人となりました。