若い発言に会場熱く

原水爆禁止世界大会・長崎が開会

“戦争起こしてはならない”


 原水爆禁止二〇〇三年世界大会・長崎が七日、開幕しました。長崎市の市民会館体育館で開かれた開会総会は、台風が接近するなか、バスツアーを組んで参加した青年やイラク戦争反対、核兵器廃絶を訴えて運動をすすめてきた全国各地の代表でいっぱい。第二会場も設けられ、七千三百人の参加者は通路にも座り込み、額から汗をしたたらせながら海外、日本国内のたたかいに共感と連帯の拍手を送りました。


写真

7300人が参加した原水爆禁止2003年世界大会・長崎=7日、長崎市民会館体育館

第二会場含め7300人参加

 海外からは代表六十人が壇上に並びました。全労連の熊谷金道議長は、イラク戦争に反対する世界の運動と世論が盛り上がったなかで大会が開かれていることを強調し、「核兵器廃絶の力強い流れを大きくしよう。長崎大会を跳躍台に」と開会宣言しました。

 日本被団協の山口仙二代表委員、日本青年団協議会の松浦利明会長が来賓あいさつ。原爆症認定訴訟への支援、核兵器のない社会の実現を強く訴えました。七カ国の国家元首らのメッセージが紹介されました。

 安斎育郎・起草委員長が主催者報告しました。

 各地の運動を交流した「世界から!日本から!」では十一人が発言。海外代表につづき会場が盛り上がったのは、若者たちを中心にした日本各地のたたかいの報告。大阪の「戦争あかん」の二千五百人の人文字、東京の原爆症認定訴訟を支える会「ピースバード」の結成など、創意と行動力あふれる青年の発言が共感を呼びました。

 長野市の中沢澄子さん(43)は、千夏さん=小学六年、有沙さん=同三年の親子三人で参加。澄子さんは「娘がイラク戦争のテレビ画面を見て『何で戦争するの?』と言ってきたんです。戦争は絶対に起こしてはならないという同じ思いに立ってほしくて」。千夏さんは「平和をテーマに夏休みの自由研究をまとめたい」と話していました。


広がる草の根のたたかい 世界で 日本で

 長崎市で七日、開かれた原水爆禁止二〇〇三年世界大会・長崎の開会総会。世界各国から、日本各地から、草の根のたたかいが報告されました。被爆者団体や青年団体の代表があいさつしました。


写真=長崎の開会総会

原水爆禁止2003年世界大会長崎の開会総会=7日、長崎市民会館体育館

被爆者と青年団

“今も傷跡癒えない”

 「からだと心に刻み込まれた原爆の傷跡はけっして癒えない」と、五十八年間の自らの苦しみを証言し、来賓あいさつした長崎の被爆者・山口仙二さん(原水爆被害者団体協議会代表委員)は、「原爆はいまなお被爆者を殺し続け、さらにアメリカの劣化ウラン弾のヒバクシャなど多くの核被害者が生み出され苦痛のうちに放置されています。これ以上ヒバクシャをつくらせてはなりません」と、怒りを込めて訴えました。

 また山口さんは、イラク戦争に反対する若者の創意あふれるエネルギーに大きな希望をよせ、「国際会議で提案された核兵器廃絶の新たな署名を大きく発展させよう」と呼びかけました。

 日本青年団協議会の松浦利明会長は、「青年は再び銃を持たない」とのスローガンのもとにすすめてきた地域青年の活動を紹介するとともに、「原爆症認定を求める被爆者の集団提訴は被爆者の人生をかけたたたかい。それは、原爆被害とは何だったのかを見つめ直し、核兵器も戦争もない二十一世紀を願う私たち自身の運動」と強調、ともに連帯して運動をすすめる決意をのべました。


海外代表

5人の代表が発言

 世界のたたかいについて、五人の海外代表が発言しました。

 英国核軍縮運動(CND)副議長のケート・ハドソンさんは、世界で数千万人が参加した二月十五日のイラク反戦行動は平和運動と社会正義の運動を結合した「新しい運動」であり、「あらゆる反戦勢力を一つに結集し、強力なものにすべきだ」とのべました。

 「全米平和と正義のための連合」のジュディス・ルブランさんは、「米国内で直面する課題は、イラク戦争が間違いだったとわかり始めている数百万の人たちを動員するような運動を組織することだ」と強調しました。

 中国人民平和軍縮協会の鮑初健(バオ・チューチアン)さんは「核兵器の全面軍縮を実現するには平和的な国際環境が必要だ」とのべ、ともに手を携えようと呼びかけました。

 韓国「統一連帯」の金承国(キム・スングク)さんは、北朝鮮の核武装への反対を表明するとともに、「韓国と日本の民衆が連帯して、有事法制体制を無力化させよう」と訴えました。

 ニュージーランド平和基金のケート・デュースさんは、同国初の非核都市・クライストチャーチでの取り組みを紹介。「未来の世代に、平和の文化の確立が必要だと教育することが核と戦争の脅威から解放された未来を開く」と力を込めました。


日本各地で

人文字、ウオーク…

 日本各地の平和運動の取り組みなどが紹介されました。

 最初に、国民平和大行進の広がりが紹介されました。各地で通し行進をした参加者が壇上にあがると会場からは、大きな拍手がわきあがりました。東京−広島間を六百人の組合員が交代でリレー旗行進したJMIU(全日本金属情報器機労働組合)からは青年部の木下新悟さんがあいさつ。「岡山−広島コースでは四十人の仲間がキャンプしながらリレーしました」と真っ黒に日焼けした顔で報告しました。

 大阪からは、縦三十三メートル・横六十六メートルの巨大な「せんそうアカン」の人文字をつくった運動が紹介されました。「人文字つくろう実行委員会」の藤井宮子さんは、「自分たちの足元から平和の思いを伝えることができるようになったのは大きな発展」と元気良く訴えました。

 京都の立命館大学の辻芙美子さんは、イラク戦争に反対するピースウオークを二百人規模で成功させた取り組みなどを紹介。壇上から、「原水爆禁止世界大会成功に向けてがんばろう!」と訴えると、会場も「がんばろう!」と声が上がりました。

 兵庫からは、二百人を超える青年たちが壇上いっぱいに登場。非核「神戸方式」を全国に広げようと訴えました。また、原爆症の認定を求める裁判を支える運動に取り組む東京の若者たちの運動が紹介され、在日米軍基地のある沖縄を代表して高校生が、平和運動の広がりについて報告しました。