2002年8月10日(土)「しんぶん赤旗」

原水爆禁止世界大会・長崎

全体総会で活発に討論

日米の若者がともに

“核、戦争、テロのない世界を”


 「核兵器のない世界の実現へ 協力・共同をひろげよう」――。九日、原水爆禁止二〇〇二年世界大会・長崎の全体総会で、国内外の二千五百人の参加者による活発な討論がおこなわれました。


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平和への活動を参加者に報告する若者たち=9日、長崎市

 各国の核実験被害者が発言。「十二歳で核実験の被害者となった。マーシャル諸島で核被害を伝えるミュージアムの建設を目指している」(ロンゲラップ環礁自治体議員のヒロコ・ランギンベリックさん)、「ロシア政府は各国からの放射性廃棄物の受け入れを決めた。私たちの反対運動への支援と、自国の放射性廃棄物の持ち出しをやめる運動を」(ロシア、チェリヤビンスク核被害者組織議長のミーリャ・カビロアさん)などの訴えに、会場は静まり返りました。

 韓国の大邱(テグ)市南区前区長の李在庸(イ・ジェヨン)さんは、「区長のときに、米軍基地を返還させた。草の根と民主主義の市民運動があったからだ」と紹介。「核兵器をなくすため、ともに立ちあがろう」と呼びかけました。

 世界平和評議会のロメシュ・チャンドラ名誉議長が、「米軍基地撤去の運動、憲法九条を守る運動、有事法制反対の運動に連帯する。団結すれば、さらに前進できる」と訴えると、参加者は大きな拍手でこたえました。

 日本の参加者が、活動の紹介と決意を表明。「新たな米軍基地建設を許さないたたかいは、世界の平和につながる」(沖縄県労連)、「米軍の原子力空母リンカーンが十六日に佐世保港にきて、対イラク戦争の準備に入る。被爆県長崎を、核攻撃の基地としてはならない」(長崎・佐世保原水協)、「被爆から五十年以上たち、資料の保存や証言活動を重視している」(佐賀原水協)――。

 日米の若者がいっしょに舞台に立ち、「二十一世紀の鍵は若者が握っている。核も戦争もテロもない世界を実現するため、行動を続けたい」と元気にアピールしました。


長崎市長がメッセージ

 全体総会には、長崎市の伊藤一長市長がメッセージを寄せました。被爆者の代表が発言し、「長崎を最後の被爆地に」の思いを訴えました。

 長崎市平和推進室の黒川智夫さんが市長のメッセージを代読。核先制使用の表明はじめ一連の米国の独断的な行動を批判するとともに、「日本政府は、唯一の被爆国として核兵器廃絶の先頭にたつ責務がある」とのべました。被爆地での核兵器廃絶の多彩な活動が若者によって継承されていることも紹介しました。

 被爆者を代表して発言した長崎原爆被災者協議会の山田拓民事務局長は、全国で七十六人が原爆症認定を求めて集団申請を行い、第二次申請を準備していることを報告。「申請に至った被爆者の共通の思いは、病気が原爆のせいであることを国に認めてもらいたいということ」とのべ、「日本政府が戦争の被害はがまんせよという立場から原爆症認定制度をゆがめ、被爆者の求めに背を向けているのは我慢できない」と、集団申請運動への理解と支援を訴えました。